2020 Fiscal Year Research-status Report
肝癌感受性遺伝子MICAのシェダーゼ阻害を基盤とした新規治療薬の探索
Project/Area Number |
19K08412
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太和田 暁之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10596159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 潤 昭和大学, 医学部, 講師 (30766176)
室山 良介 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50549459)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / MICA / 大規模化合物ライブラリ / シェダーゼ阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌(肝癌)は最も予後不良な癌のひとつである。肝癌細胞は細胞膜上に自然免疫関連分子MICAを発現しNK細胞にNKG2D受容体を介して認識され排除される。肝癌細胞はシェダーゼを発現し細胞膜上のMICAを切断失活させる。応募者はこれまで前臨床研究として大規模化合物ライブラリをスクリーニングし, 複数のMICA発現増強薬およびMICAシェダーゼ阻害薬を同定してきた。その多くは他疾患の既知の治療薬でありドラッグリポジショニングにより実現可能性が高い化合物であった。 我々は健常人、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のヒト血清中のMICA濃度をELISA法により測定した。また大規模化合物ライブラリのスクリーニングを行い新たなMICA発現増強薬を見出した。今後の予定の概要を以下に記す。 ・シェダーゼの阻害効果およびMICAの切断回避効果の評価:肝癌培養細胞を用いてシェダーゼmRNAおよび蛋白の定量、および培養上清中の可溶型MICA蛋白および膜型MICA発現量の定量を行う。 ・In vitro自然免疫モデルによる新規候補薬の抗腫瘍効果の評価:肝癌細胞株を新規候補薬で処理したのちNK細胞株と共培養し上清中のLDHを肝癌細胞株障害の指標として測定する。 ・腫瘍移植マウスを用いた新規候補薬の腫瘍縮小効果の評価:肝癌細胞株を超免疫不全マウスNSGに皮下注射し正常ドナーマウスからNK細胞を経静脈的に移植したのち新規候補薬を投与しあらかじめ定めた経過日に生着した腫瘍径を計測する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の実施が全般的にやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
・レポーターシステム(R&D systems社)による阻害薬スクリーニングを行う. ・新規候補薬のシェダーゼ阻害効果の確認とMICAの評価:肝癌細胞株を, ヒットした化合物(以下「新規候補薬」)で処理しシェダーゼの阻害効果およびMICAの切断回避効果を1, シェダーゼmRNAおよび蛋白, 2. 培養上清中の可溶型MICA蛋白および膜型MICA発現量, でそれぞれ評価をする.新規候補薬の濃度を対数でふった系で濃度依存性の評価を行う. ・In vitro自然免疫モデルによる新規候補薬の抗腫瘍効果の評価: 肝癌細胞株とNK細胞株との共培養の実験系をin vitro自然免疫モデルとして確立した(Goto et al. Sci Rep. 2017). 肝癌細胞株を新規候補薬で処理したのちNK細胞株と共培養し, 上清中のLDHを肝癌細胞株障害の指標として測定する. ・腫瘍移植マウスを用いた新規候補薬の腫瘍縮小効果の評価: 肝癌細胞株を超免疫不全マウスNSGに皮下注射し(1×106個/個体), 正常ドナーマウスからNK細胞を経静脈的に移植(2×106個/個体)する. 1. DMSO(陰性対照), 2. 新規候補薬, 3. 抗NKG2D抗体(1mg/kg, 陽性対照), 4. 新規候補薬および抗NKG2D抗体(シェダーゼ阻害効果のキャンセル実験)を投与し0-24日目まであらかじめ定めた経過日に, 生着した腫瘍径を計測する.
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Causes of Carryover |
当該年度に、予定していた実験の一部が実施できなかった。余剰した額はこの実験に充てる予定であったものである。次年度にこの実験を実施する予定であるため「余剰した額」=「次年度使用額」を本実験に充てる(研究代表者が実施する予定であり研究分担者は実施の予定はない)。分担研究者については端数が生じたことによる。
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