2020 Fiscal Year Research-status Report
胆管周囲付属腺に着目した胆管再生および胆管癌発生機序の解明
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19K08414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中込 良 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20778039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 胆管周囲付属腺 / 胆管再生 / Axin2 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに胆管周囲付属腺(PBG)の胆管幹細胞としての可能性を解析する過程で、胆管付属腺の中でも十二指腸乳頭部に存在する胆管付属腺細胞が、より胆管幹細胞として機能している可能性を見出していた。そこで同部位特異的に発現しているマーカーを探索したところ、Wnt経路の標的遺伝子であるAxin2が乳頭部PBG特異的に発現しており、Axin2-CreERTマウスとLSL-Tomatoマウスを交配させることによって、乳頭部PBG特異的にgenetic labelingできることを見出した。そこで細胞系譜解析を行ったところ、胆管表層上皮がTomato陽性細胞によって置換される様子が観察され、Axin2陽性PBG細胞は乳頭部胆管の幹細胞として機能していることがわかった。また、Axin2と成熟胆管上皮マーカーであるCK19は相互排他的な発現パターンを呈しており、Axin2-CreERTマウスとCK19-CreERTマウスを用いることで、PBGと胆管表層上皮に別々に遺伝子改変を誘導できることが分かった。そこでそれらをPTENf/fマウスと交配させ、PBGおよび胆管表層上皮それぞれのPTEN欠損マウスを作成したところ、前者は全例で乳頭部癌を発症したのに対し、後者は一例も発症しなかった。さらに、乳頭部をとりまくaSMA陽性Oddi括約筋細胞および筋線維芽細胞がWnt活性化因子R-spondin3を強く発現し、PBG内のWnt活性化ニッチを形成していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳頭部胆管付属腺特異的な細胞マーカーを特定することで、直接的に胆管付属腺が胆管幹細胞ニッチおよび癌起源として機能していることを証明し、かつ十二指腸乳頭部癌マウスモデルを樹立することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
乳頭部特異的なWnt活性化ニッチの阻害が乳頭部癌の治療につながるかどうかを検証する。またAxin2陽性PBG陽性細胞をablationすることによる胆管恒常性への影響を解析する。さらに平滑筋特異的Rspo3欠損マウスを作製し、乳頭部のWnt活性化ニッチさらには胆管恒常性維持に与える影響を検討する。
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