2020 Fiscal Year Research-status Report
膵癌の腫瘍免疫療法を目指した免疫チェックポイントの網羅的探索と治療効果予測
Project/Area Number |
19K08418
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
深澤 光晴 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任講師 (00377508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / EUS-FNA / 次世代シークエンス / 腫瘍免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は予後不良な現状が続いており、個々の患者の遺伝子プロファイルを得て治療選択を行う個別化医療が重要である。そのためには膵癌で採取されるEUS-FNA検体の遺伝子解析が極めて重要な意味を持つことになると思われる。今回、膵癌患者のEUS-FNA検体(FFPE)を次世代シークエンサーにて解析し治療標的遺伝子同定の可能性を模索した。膵癌に対してEUS-FNAを施行した62症例を対象とした。EUS-FNA検体よりDNAを抽出し癌関連50遺伝子を次世代シークエンス解析した結果、EUS-FNAのFFPEサンプルから平均34.2ngのDNAが得られ、13例は測定感度以下であった。標的遺伝子は62例中58例(93.5%)で増幅され次世代シークエンスを行うことが可能であった。この58症例について臨床因子との対比を行ったところStage II/III/IV=16/5/37であり、得られた変異は多い順にKRAS (83%), TP53 (62%), CDKN2A, SMAD4, PTEN (14%)であった。1症例当たりの遺伝子変異数は中央値で3個であり、分子標的薬の標的となりうる遺伝子変異は17変異9症例(15.5%)に認めた。今回使用した遺伝子パネル中にマイクロサテライト領域を4か所認め、バイオインフォマティクス処理によるシークエンスリード中のマイクロサテライト領域の異常は2症例に認められた。予後不良に関連する因子として多変量解析では遺伝子変異数<10 (p=0.026), 遠隔転移 (p=0.003)が同定された。膵癌患者から得られるEUA-FNA検体の次世代シークエンス解析により、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の効果が見込まれる症例があることを見出した。治療法の選択肢が少ない膵癌であるが、本研究の手法が予後改善につながることを期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度、膵癌に対してEUS-FNAを施行した139症例(Stage I,II/III,IV=65/74例)を対象とした遺伝子解析を行った。ドライバー遺伝子と治療標的となりうる遺伝 子異常、マイクロサテライト領域合わせて77遺伝子を対象とする遺伝子パネルを作成し、EUS-FNAのFFPE検体より抽出したDNAを用い、次世代シークエンス解析した。結果、EUS-FNAのFFPEサンプルから平均30ngのDNAが得られ、13例は測定感度以下であった。標的遺伝子は130例(94%)で増幅され次世代シークエンスを行うことが可能であった。得られた遺伝子異常は多い順にKRAS (80%), TP53 (56%), SMAD4 (18%), RET(18%), SMO (16%)であった。1症例当たりの遺伝子変異/Copy number異常数は平均3.6/1.4個であった。また、FDAで認可されている分子標的薬のマーカーとなる遺伝子異常は51遺伝子異常25症例(18%)に認め、実用可能な薬剤のマーカーまで含めると63遺伝子異常27症例(19%)に認めた。さらにシークエンスリードからマイクロサテライト領域を同定する解析も可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で腫瘍のゲノムシークエンスが中心となっているが、今後はmicroRNAを含めた解析、および膵癌のみならずIPMNまで間口をひろげ、治療効果や予後の関連するマーカーを模索していく予定。
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