2022 Fiscal Year Research-status Report
HBV遺伝子のヒト遺伝子への組み込みに対する統合的遺伝子解析から肝発癌を予測する
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19K08427
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藤原 圭 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70635804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯尾 悦子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20543797)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | B型肝炎 / structural variation |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)感染は、世界的な公衆衛生上の問題である。幼少期の感染から慢性感染をきたし、肝硬変や肝細胞癌を発症する。我々は、HBVに関して、ウイルス学的、分子疫学的、および臨床的な検討を多数行ってきた。最近では感染症であるCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-Cov-2の遺伝子変化に関する研究を行い、HBVと類似した遺伝子変化が発生していることを確認している。ウイルスの遺伝子変化に関する研究を行う中で、我々はstructural variation (SV)に注目している。Insertionやdeletionといった規範的なSVに加え、それらが複雑に重なり起こるcomplex SVsについても過去に多数の研究報告を行っている。HBVはヒトゲノムに挿入されるが、それはHBV integrationと呼ばれている。単純なHBVゲノムのヒトゲノムへの挿入は規範的なSVに含まれるが、過去に、HBVゲノムのいくつかの断片が複合的に挿入されintegrationを起こしていることが報告されており、これらはcomplex SVsと考えられる。今回、HBVに起こるcomplex SVsを元にHBV integrationの解析を行っている。その中で新たにHBVにはpolymorphicなSVが存在することを確認し、それらが、integrationに関連する可能性についても検討を行っている。HBVのintegration自体が宿主ゲノムにとってのSVであり、さらにintegrateされたHBVゲノムが通常の自然に存在するHBVゲノムとは異なり異常な接続によるcomplex SVsを構成していることに注目し、研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HBV遺伝子に関するcomplex SVsの様々のパターンの分類や性質については十分に解析を行っている。Integrationに関連するHBV core領域に存在するpolymorphic SVsの検討に関しては、2022年春の肝臓学会において報告するとともに、新たに報告された各生物種におけるHBVゲノムの追加を行い、解析を行っている。B型肝炎には異なる宿主に感染するウイルスにおいて由来不明のInsertionが存在する。ウイルス由来の配列ではないことから宿主由来の可能性があるが、今のところは十分に解明できていない。Integrationに関しては、初期の報告にあるようにDR2からDR1にかけた領域がintegrationの高頻度領域ということもあり重要である。Polymorphic SVs解析をDR2からDR1の領域に関して行うと、複雑ではあるが、特定のbreak pointおよびcore領域にみられる遺伝子変化と類似したpolymorphic SVsの存在や宿主の異なるHBVにおいても高度に保存されている領域が存在することが明らかとなってきており、今後、これらの知見をIntegration解析に応用することができると考えている。肝細胞癌症例や細胞株にみられるintegrationはケースごとにパターンが異なることから遺伝子変化としての共通性を解析することが重要であり、その点からbreak pointの位置やbreak pointにおける塩基配列は重要と考えている。臨床医としてCOVID-19への対応し、自身がCOVID-19に感染し、体調不良を来したこともあり進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのHBVの解析により、規範的なInsertion、deletionやduplicationといった単純なSVから、より複雑なcomplex SVsまで、HBVに起こる様々な遺伝子変化が明らかとなっている。過去にHBVの遺伝子変化として重要とされていた一塩基置換やrecombinationとは明確に異なる変化であり、これらの解析により遺伝子変化を以前より一段階深いレベルで理解することができると考えている。また様々な宿主に感染するHBVを用いた比較ゲノム学的解析により、polymorphicなSVsが存在することも明らかとなった。これらの解析より遺伝子変化のbreak pointや塩基配列断片的遺伝子変化の特徴を明確にすることができている。Complex SVsやpolymorphic SVsを考慮した遺伝子解析により、ランダムと考えられていた遺伝子変化に規則があることを見出すことができることが非常に重要なポイントである。HBVのヒトゲノムへのintegrationは非常に複雑な機構であるが、我々の発見した特徴的な遺伝子変化パターンを基にして、引き続き、解析を継続することで新しい知見を引き出すことができると考えている。その中でも、宿主とHBVのintegration部位、さらにintegrateされたHBV断片の複雑な構成に関するマッピングによる特徴の理解を深めることを行う。解析は非常に煩雑な作業を必要とするが、各種の解析ソフトウエアを用いて、できるだけ簡便に行う手法についても検討している。またintegration、complex SVs、polymorphic SVsが一連の連続的な遺伝子変化であることを調べることで、肝発癌における重要性を確認し、発がんのマーカーとしての意義を確認する。
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Causes of Carryover |
学会や研究会がWEBで開催され、旅費が減っている。さらに物品費が減少している。次年度に学会出張や試薬購入を行う。
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Research Products
(11 results)