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2023 Fiscal Year Research-status Report

HBV遺伝子のヒト遺伝子への組み込みに対する統合的遺伝子解析から肝発癌を予測する

Research Project

Project/Area Number 19K08427
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

藤原 圭  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70635804)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 飯尾 悦子  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20543797)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
KeywordsB型肝炎ウイルス / 発癌 / 遺伝子変化
Outline of Annual Research Achievements

慢性的なB型肝炎ウイルス(HBV)感染は、無症候性キャリアから、慢性肝炎、そして肝硬変に進行し、腹部膨満の原因となる腹水、掻痒感や皮膚黄染の原因となる黄疸、吐血して出血性ショックから時には心肺停止となるリスクのある食道胃静脈瘤といった合併症を発症し、さらに肝細胞癌の原因となる。特に、HBVにおいてはウイルスのヒトゲノムへのintegrationが原因となり、若年患者における肝細胞癌発生の原因となることが推定される。一般的に肝細胞癌は臨床的な自覚症状に乏しいため、検診などを受診していない若年者では発見された時にはすでに癌の大血管への浸潤や、遠隔転移を来すいわゆるステージIVの高度進行癌となっていることが多い。そのようなHBV特有の発癌を考えると、臨床的な癌に対する画像診断による診断よりも以前に発癌高リスクなキャリアの遺伝子レベルでの拾い上げが望まれる状況である。HBVゲノムのヒトゲノムへのintegrationについて単純なウイルスゲノムの挿入はいわゆるcanonicalなstructural variation (SV)と定義され、より複雑なウイルスゲノムの断片が組み合わさるnon-canonicalなcomplex SVsまで多様である。我々はHBVゲノムに起こるcomplex SVsの解析を100例以上行っており、現在も、データベース登録や論文報告されているウイルス遺伝子解析を行い、新たなcomplex SVsの検出および詳細な解析を行い、複雑な遺伝子変化の解析に高い技術を有している。これらの技術を元にヒトゲノムにHBVゲノムが挿入されるintegrationと肝発癌の関連について遺伝子解析を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

Complex SVsに関して、昨年度、日本の研究者からアフリカにおけるHBV遺伝子配列から新しい遺伝子変化が報告された。その配列を我々が再度、解析し、DR1領域にDR2領域の遺伝子配列がdeletionとinsertionを複合的に起こした変化であることを確認した。HBVゲノムに関して、DR2の近傍に各近縁ウイルスにおいて特徴的に遺伝子配列の異なる領域があり、多型的なinsertionを起こしおり、新たに遺伝子配列決定されたEquine HBVやdomestic cat HBVにおいても各々に特徴的な遺伝子変化が起こることを確認している。DR2については、integrationにおいても高頻度に挿入され、遺伝子配列上、重要な位置であり、さらなる検討が必要である。肝細胞癌症例や細胞株におけるintegrationパターンを継続的に解析しているが、症例ごとにHBVのinsertion部位やパターンが異なっており、多くの症例に共通するパターンがあるのかについては、今後も解析の継続が必要である。最近のQianらの報告では、HBVのinsertion部位近傍のヒトゲノムには特徴的な遺伝子変化が起こることが示されており、HBVゲノム自体が複雑な構成を持つ形で挿入され、さらにその近傍のヒトゲノムが複雑な遺伝子変化を有する形となる。これらの論文報告を元に詳細な解析の継続が必要であると考えている。integration内のHBVゲノムの構成数とさらに近傍ヒトゲノムに起こる遺伝子変化の総数が発癌に関連するのかについても検討が必要である。肝細胞癌症例や細胞株におけるintegrationの構成を引き続き解析することを進めてゆく。

Strategy for Future Research Activity

現在までの経時的なHBV遺伝子配列の解析の継続により、HBV遺伝子に起こるcomplex SVs症例は増加しており、まったく同一の変化は少なく、個別で異なる変化が大半である。HBVのゲノムにおいてDR2近傍に各近縁ウイルスにおいて、特徴的な挿入構造があることが明らかとなっており、それらがintegrationのbreak pointとなるのかについても検討が必要である。Complex SVsの検出に関して、過去にはMEGAを用いたmultiple alignmentを使用し検出の解析を行っていたが、Dotplot解析を用いると、遺伝子配列の全体からリファレンス配列との比較で、より視覚的に遺伝子変化を捉えることができるのではと考え、現在、Dotplot解析を用いた場合にcomplex SVsがどのような所見を呈するのか検討を行っている。視覚的な拡大パターンについても注目している。またDotplotでは、リファレンスとの対比で1配列しか検出することができないため、効率よくcomplex SVsを検出するためにAI画像認識による判定が可能かについても検討を進める必要がある。
最近のQianらによるGUTの論文の中では、HBV integrationによっておこるヒトゲノムの変化を4つに分類しており、非常に複雑な変化を来すことが明確となっている。彼らの提唱するパターンを参考に、さらに今後の解析を進めてゆく。塩基配列の変化を解析すると共通性が得られにくいため、integrationされたHBVゲノムの変化数とヒトゲノムに起こる遺伝子変化の総数による病態への影響がないかなど、多角的に臨床病態と関連する因子を検索する。

Causes of Carryover

実験の遅れ、学会参加がWEBとなっているため使用額が減となっている。次年度に実験試薬を購入や学会現地参加で使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Kinetics of HBcrAg and HBsAg using highly sensitive iTACT assays in chronic hepatitis B patients with HBsAg seroclearance2023

    • Author(s)
      Suzuki Takanori、Matsuura Kentaro、Watanabe Takehisa、Matsui Takeshi、Ogawa Shintaro、Kawamura Hayato、Kuno Kayoko、Fujiwara Kei、Nojiri Shunsuke、Kataoka Hiromi、Tanaka Yasuhito
    • Journal Title

      Journal of Medical Virology

      Volume: 95 Pages: 29109

    • DOI

      10.1002/jmv.29109

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Serum inducible protein 10 kDa/C‐X‐C motif chemokine 10 levels predict regression of M2BPGi‐based liver fibrosis after hepatitis C virus eradication by direct‐acting antiviral agents2023

    • Author(s)
      Nagura Yoshihito、Suzuki Takanori、Matsuura Kentaro、Ogawa Shintaro、Kawamura Hayato、Kuno Kayoko、Fujiwara Kei、Nojiri Shunsuke、Nagaoka Katsuya、Iio Etsuko、Watanabe Takehisa、Kataoka Hiromi、Tanaka Yasuhito
    • Journal Title

      Hepatology Research

      Volume: 54 Pages: 32~42

    • DOI

      10.1111/hepr.13962

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 1.B型肝炎ウイルスにおけるN6メチルアデノシン修飾モチーフ配列の保存性に関する検討2023

    • Author(s)
      藤原圭、野尻俊輔、木村吉秀
    • Organizer
      第59回日本肝臓学会総会
  • [Presentation] 2.病態別HBsAg消失例における高感度HBコア関連抗原測定の意義2023

    • Author(s)
      鈴木孝典、河村逸外、久野佳世子、松浦健太郎、藤原圭、片岡洋望、田中靖人
    • Organizer
      第109回日本消化器病学会総会
  • [Presentation] 1.Pegylated interferon reduces relapses following bepirovirsen treatment in participants with chronic hepatitis B virus infection on nucleos(t)ide analogs: end of study results from the Phase 2b B-Together study2023

    • Author(s)
      Maria Buti, Jeong Heo, Yasuhito Tanaka, Pietro Andreone, Masanori Atsukawa, Joaquin Cabezas, Eric Chak, Carla S Coffin, Kei Fujiwara et. al.
    • Organizer
      American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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