2020 Fiscal Year Research-status Report
肝癌におけるがん幹細胞制御機構の解明と遺伝子治療開発
Project/Area Number |
19K08429
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
及川 恒一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20514491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肝癌 / 分化 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに世界に先駆けて世界に先駆けてp53依存的細胞死誘導キナーゼとしてDYRK2を同定し、癌の増殖、転移・浸潤に関与することを明らかにしてきた (Taira et al. J Clin Invest, 2012/ Mimoto et al. Cancer Lett, 2013 / Ito et al. Cancer Sci, 2017/ Mimoto et al. Oncogene, 2017)。 そこで肝癌におけるDYRK2の役割については解析を行ったところ、ヒト肝癌検体において癌部では非癌部に比べ、DTRK2の発現が低下しており、かつDYRK2発現低下例では予後不良であること、肝癌細胞株では正常肝細胞よりDYRK2が低発現であり、その強制発現及びknockdown機能解析から DYRK2がin vitroにおいて腫瘍細胞増殖抑制やapoptosisを誘導すること、肝癌細胞株を免疫不全マウスに移植したxenograft担癌マウスにおいて、adenovirus遺伝子導入によるDYRK2強制発現がin vitroのみならずin vivoでも細胞増殖抑制とapoptosis誘導を介した腫瘍縮小効果を持ち、将来的な新規治療に有用となる可能性を見出した。以上の結果は学術雑誌に採択され掲載された (Yokoyama-Mashima S et al. Forced overexpression of DYRK2 exerts anti-tumor effects via apoptotic induction in liver cancer; Cancer Lett. 451;100-109, 2019)。さらなる肝癌におけるDYRK2の役割について解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝癌における詳細なDYRK2の関与を解析するため、昨年度より肝癌細胞株におけるCRISPR-Cas9システムを用いたDYRK2ノックアウト実験がうまく行かずに、knockdownによる実験により解析を行っていた。これまで効果的、効率的なノックアウトが得られず計画にやや遅れが生じ試行錯誤を繰りかえしていたが、ようやくノックアウト実験に前進がみられ目処が立ったため、今後これを用いた詳細なメカニズムの解析が行えるものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに進行乳癌、卵巣癌、大腸癌等においてリン酸化酵素であるDYRK2発現低下が ① 細胞周期の主要転写因子c-Junやc-Mycの蓄積を引き起こし細胞増殖が亢進すること ② リプログラミング転写因子KLF4発現を誘導し癌幹細胞特性と化学療法抵抗性の獲得をもたらすこと ③ Epithelial-Mesenchymal Transition (EMT) の主要転写因子Snail発現亢進によるEMTを誘導することで癌の増殖、転移・浸潤に関与することを明らかにしてきた (Taira et al. J Clin Invest, 2012/ Mimoto et al. Cancer Lett, 2013 / Ito et al. Cancer Sci, 2017/ Mimoto et al. Oncogene, 2017)。現在、我々は肝癌における化学療法抵抗性獲得メカニズムへのDYRK2の関与について解析を行っており、これまでにこれに関わるいくつかの候補遺伝子を同定した。将来的な治療応用に向け、さらなる詳細な解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
CRISPR-Cas9システムを用いたノックアウト実験が途中うまく行かず滞っていたため次年度使用額が生じた。目処がついたため、次年度でさらなる解析のために使用する。
|
-
[Journal Article] Unconventional Secretion of PKCδ Exerts Tumorigenic Function via Stimulation of ERK1/2 Signaling in Liver Cancer2021
Author(s)
Yamada K, Oikawa T, Kizawa R, Motohashi S, Yoshida S, Kumamoto T, Saeki C, Nakagawa C, Shimoyama Y, Aoki K, Tachibana T, Saruta M, Ono M, Yoshida K.
-
Journal Title
Cancer Res.
Volume: 81
Pages: 414-425
DOI
Peer Reviewed