2019 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌における新規静止期がん幹細胞の同定および治療応用
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19K08430
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
玉井 恵一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (40509262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行した肝細胞癌は、現在においても根治は困難であり、新たな治療手段が望まれている。私たちは、癌細胞の「免疫不全マウスにおける造腫瘍能」を指標に癌幹細胞をスクリーニングした結果、X分子が静止期癌幹細胞の維持に重要であることを見いだした。In vitro解析の結果、X分子高発現癌細胞は冬眠期に誘導され抗癌剤耐性能を獲得していた。興味深いことに、X分子はミトコンドリアを抑制することで、癌細胞を低エネルギー状態に遷移させていることが示唆された。臨床検体を用いてこの現象を免疫染色でスクリーニングしたところ、肝細胞癌症例において、X分子発現癌細胞は明瞭に非増殖期(静止期)であることを突き止めた。 本課題では、肝細胞癌におけるX分子とミトコンドリアのcross-talkを明らかにし、その分子機構の全容を解明する。さらに、この経路を阻害する小分子化合物を同定し、冬眠期癌細胞を目覚めさせ(細胞周期を回転させ)、抗癌剤・放射線治療感受性を向上させることを試みる。以上によって、これまでにない新規の治療ターゲットが明らかとなり、肝細胞癌の新たな治療薬開発の端緒となると考える。 本年度は分子Xのノックダウン肝細胞癌株を作成し、その表現型を解析した。具体的には、増殖能・スフェア形成能・造腫瘍能・遊走能といった基本的な表現型を検討した。また、分子Xのノックアウトマウスを交配して準備中である。ノックアウトマウスはhydrodynamic法で肝細胞癌を発がんさせる。myc, AKTなどの発現ベクターを準備し、現在予備検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
分子Xの静止期維持機構を解明する。
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Causes of Carryover |
多くの消耗品が必要なノックアウトマウスの表現型解析は次年度以降のため、次年度への繰り越しが生じた。
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