2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規HBV感染症モデルを用いた治療的ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
19K08440
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 弘康 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80373075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲也 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10288508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HBV / ワクチン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染症に対する治療として核酸アナログ製剤が使用されているが、HBVを完全に排除できる可能性は低く、新規治療法の開発が期待されている。慢性HBV感染症患者では、HBV抗原に対する免疫応答の減弱化が持続感染の原因の一つと考えられており、これまで我々はHBVに対する治療的ワクチン療法の開発を行ってきた。ワクチンアジュバンドとしてStimulator of Interferon Genes (STING)のリガンドであるcGAMPが注目されている。我々は、cGAMPがHBVワクチン療法において強力なアジュバンド効果があることを報告した。さらに、ポリアミン(スペルミジン:SPD)の投与がオートファジーを活性化し宿主免疫応答の回復に寄与することも示唆されている。しかしながら、これらの新規免疫修飾剤が慢性HBVに対して効果があるかは不明である。本研究では、慢性HBV感染症患者と同様にHBV抗原に対する免疫応答が減弱しているHBVTgマウスを用いてSPDのアジュバンド増強効果について検討を行った。HBs抗原+cGAMPにて野生型(WT)マウスおよびHBVトランスジェニック(HBVTg)マウスに対して免疫を行ったところ、スペルミジン投与によりHBs抗原特異的な液性および細胞性免疫応答の増強がみられた。さらに、HBVTgマウスでは上記ワクチンによる免疫後肝内および血清中のHBs抗原量が有意に低下した。以上の結果より、未だウイルスの完全な排除が困難である慢性HBV感染症に対する新たな治療戦略の開発に繋がる知見が得られたとものと考える。
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