2021 Fiscal Year Research-status Report
肥満細胞における小胞体ストレスを介した腸炎発症および腸管線維化メカニズムの解析
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19K08450
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
細見 周平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60554938)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 肥満細胞 / Amphiregulin / interleukin-12 / interleukin-23 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレス(ERストレス)による肥満細胞活性メカニズム解析 ERストレス応答性転写因子であるATF4がAmphiregulinの遺伝子(AREG)を誘導しているという結果をふまえて、2020年度はLUVA細胞を用いたin vitro実験で、リコンビナントIL-12/23の作用実験を行った。IL-12とIL-23の共刺激下のLUVA細胞の遺伝子発現をRNAシークエンスで行ったところ、GO解析において、ATP synthesis coupled electron transport、ATP synthesis coupled electron transport (sensu Eukaryota)の発現亢進を認め、IgE非依存経路を介した肥満細胞活性化が生じている可能性が示唆される結果であった。一方、ERストレス関連因子、TNF-αやAmphiregulinに変化はなく、IL-12/23と小胞体ストレスによる肥満細胞活性化は直接的には関連しないことが示唆せれた。 また、クローン病の腸管肥満細胞におけるTNF・Amphiregulin発現解析を行うための手術検体は2021年度も集積を継続したが、新型コロナウイルス感染症の影響による手術件数減少や実験制限のために、目標症例数にはもう少しの時間を要する見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19流行下において、当院での診療体制として、全診療科でCOVID-19診療を行う方針となっていたため、COVID-19診療を実験制限動物・細胞実験を含めた実験を予定通りにすすめることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、LUVA細胞を用いたin vitro実験で、ERストレス抑制作用が報告されている4-phenyl butyric acid(PBA)やtaurine-conjugated ursodeoxycholic acid(TUDCA)、ursodeoxycholic acid(UDCA)による作用を、GRP78・TNF・AmphiregulinのmRNA・蛋白レベルを測定することで検討する。 マウスの実験としては、肥満細胞欠損もでるとして、抗マウスc-kit (CD117) 抗体を腹腔内投与したマウスを用いて、腸炎モデル(急性及び慢性DSS腸炎モデル) の検討を行う。 また、集積した手術検体を用いて、クローン病の腸管肥満細胞におけるTNF・Amphiregulin発現解析も予定している。 具体的には、トリプターゼ陽性肥満細胞におけるTNFα・Amphiregulin発現を蛍光二重免疫染色で解析し、 GRP78やATF4発現局在の多重染色による確認し、健常人、クローン病におけるTNFα・Amphiregulin発現や、単離肥満細胞の発現遺伝子の差異を検討し疾患活動性との関連を評価する。
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Causes of Carryover |
In vivo実験とヒト検体を用いた免疫染色を進める予定であったが、COVID-19診療による実験遅延、実験室・動物実験室の使用制限による、進捗の遅れのために、細胞培養実験関連試薬、real time PCR実験試薬、免疫染色試薬などが予定どおり使用できず次年度使用額が生じている。次年度にはマウスを用いたin vivo実験と、ヒト検体の免疫染色を中心に、実験を行う予定である。
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