2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞を用いた炎症性腸疾患における疾患モデリングの確立と病態解明
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19K08453
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
柿本 一城 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20589816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 紀一郎 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50362843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 炎症性腸疾患 / 腸上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】 人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells, iPS細胞)は、無限に 殖する能力を保ちながら、体を形成する全ての細胞に分化する能力を持つ細胞である。再生医療のみならず、疾患の病態解明や創 研究の基盤技術として期待されている。2011年にJason R.らは三次元培養法を用いてヒトiPS細胞から、腸管上皮幹細胞、パネート細胞、ゴブレット細胞を含んだクリプト構造を形成する腸管上皮細胞(human iPS derived intestinal epithelial cells: hiPS-IECs)を分化誘導する技術を報告したが、一般に確立した手法とは言えなかった。そこで今回我々は、ヒトiPS細胞を用いて腸管上皮細胞を分化誘導し、再生医療や創 研究に用いる十分な腸管上皮細胞を作製できるかどうか検討した。さらにhiPS-IECsを用いて炎症性腸疾患モデルの構築を試みた。 【方法と結果】 健常人の血液を採取し、血球細胞からヒトiPS細胞を作製した。このヒトiPS細胞からサイトカインとシグナル伝達経路阻害剤を用いて胚体内胚葉への分化を誘導し、さらにサイトカインの種類を変え三次元培養法にてhiPS-IECsを誘導した。分化誘導を確認するため、PCR法および免疫染色法にて腸上皮細胞マーカーの発現を解析したところ、作製した腸管上皮細胞は小腸の吸収上皮細胞マーカーを発現しており、小腸の吸収上皮細胞と考えられた。次にCRISPRiを用いてhiPS-IECsに対して炎症性腸疾患関連遺伝子であるオートファジー関連遺伝子ATG16L1を抑制したところ、インフラマソーム経路が活性化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトiPS細胞から効率的に腸管上皮細胞を分化誘導し、炎症性腸疾患モデルを作製したが、細胞分化にバラつきがあり、その後の研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞由来の炎症性腸疾患モデルを用いて、炎症性腸疾患の病態解明を進める。
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Causes of Carryover |
iPSからの分化実験がやや遅れており、物品の使用が滞っておりました。次年度は、iPS分化実験を進ませるため、本費用を使用する予定です。
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