2020 Fiscal Year Research-status Report
大腸がん組織内での概日周期多様性とその治療への応用
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19K08454
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松浦 徹 関西医科大学, 医学部, 講師 (60415297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 概日周期 / 細胞周期 / がん幹細胞 / 抗がん剤治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
発がん誘発剤である4NQOを100μg/ml含む水をマウスに16週間与えることにより食道上皮がんを誘発した。がん組織をマウスより摘出し、オルガノイド培養を確立した。このがんオルガノイドに概日周期のレポーターであるBmal1-eLucをレンチウイルスで発現させ、安定発現オルガノイド株を樹立した。また細胞周期レポーターであるhGeminin-GreenLuciferaseを発現させた安定発現オルガノイド株を樹立した。これらレポーターオルガノイド株を用いることにより概日周期と細胞周期を安定してがんオルガノイドから測定することができるようになった。これらのがんオルガノイド株を幹細胞有意な培養条件と通常条件において概日周期と細胞周期のリズムの測定を行った。幹細胞有意な条件では通常条件と比較して優位に概日周期が弱くなっていることが観測され、また細胞周期も日周期がなくなっていた。このことからがんの増殖において重要ながん幹細胞では正常体幹細胞に比べて細胞分裂に周期がなく、抗がん剤による正常体幹細胞へのダメージを減らすためには、正常体幹細胞の分裂しないタイミングで抗がん薬を投与することが有効と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスでのがんモデルの確立に時間がかかった。またシングルセルqPCRについて技術的に問題があった。
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Strategy for Future Research Activity |
アゾキシメタン投与により大腸がん誘発マウスを作製し、大腸がんでの幹細胞マーカであるLgr5発現細胞をFACSで分離し、CHIPシーケンシングにより、がん幹細胞とその他がん細胞で概日周期のロバストネスが異なる原因を探る。また可能であればシングルセルRNAシーケンス解析によりがん幹細胞とその他がん細胞での概日周期関連遺伝子発現を比較する。 大腸癌誘発マウスを使った治療モデルによる概日周期を重視した時間治療の効果を確認する。 また大腸がんオルガノイドを用いた概日周期と細胞周期のがん幹細胞とその他がん細胞での比較を行う。
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Causes of Carryover |
オルガノイド培養に用いる予定であった成長因子の一部を自作で補ったため一部費用が余ったが、今年度のNGS解析費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)