2021 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん組織内での概日周期多様性とその治療への応用
Project/Area Number |
19K08454
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松浦 徹 関西医科大学, 医学部, 講師 (60415297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 概日周期 / がん / 幹細胞 / 細胞周期 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命は地球の自転による一日24時間の周期に合わせるために、自律的に生理現象を24時間の周期に合わせる機構(概日周期)を有している。概日周期は時計遺伝子群により制御されており、遺伝子発現、ホルモン分泌などに加え、細胞周期制御にもかかわることから、細胞のがん化に寄与していると考えられている。ヒト大腸癌から確立されたCaco-2培養細胞をがん幹細胞様培養した場合と、分化細胞培養した場合にがん幹細胞では概日周期の頑健性が優位に減少することが明らかとなった。時計遺伝子の一つであるPer1遺伝子の発現に関わるプロモータ領域のクロマチン構造を調べると、がん幹細胞では遺伝子発現のしにくい閉じた構造をしていた。またマウス大腸がん組織より採取したがん幹細胞と分化したがん細胞のクロマチン構造を比較すると、がん幹細胞ではやはりBmal1、Per1、Per2などの時計遺伝子のプロモータ領域が閉じていることが明らかとなった。これによりがん幹細胞では概日周期依存性の細胞周期抑制が減少し、常に細胞周期がONとなることが示唆された。がんに対する化学療法では様々な副作用が予後不良につながることが広く知られている。これは化学療法薬が細胞分裂を行う細胞をターゲットとすることで、がん細胞のみならず体内の正常幹・プロジェニター細胞にも細胞毒性を発揮することに起因すると考えられている。体細胞の分裂は一般的に夜間に起こることが知られているが、我々の研究ではがん幹細胞の細胞分裂は一日中起こっている。そのことから体内での半減期の短い化学療法薬(5-FU)などを、体細胞の分裂しない日中に投与することで、体細胞への副作用を抑え、がん幹細胞へは効果の高い治療を行うように応用することが可能と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Ontogeny and function of the circadian clock in intestinal organoids.2022
Author(s)
Rosselot AE, Park M, Kim M, Matsu-ura T, Wu G, Flores DE, Subramanian KR, Broda TR, McCauley HA, Hawkins JA, Chetal K, Salomonis N, Shroyer NF, Helmrath MA, Wells JM, Hogenesch JB, Moore SR, Hong CI
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Journal Title
EMBO J
Volume: 41
Pages: e106973
DOI
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