2021 Fiscal Year Annual Research Report
大腸管状腺腫の遺伝子変異プロファイルおよび生物学的多様性についての研究
Project/Area Number |
19K08467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 敦 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20569610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
鎌田 真由美 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70749077)
近藤 純平 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80624593)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸管状腺腫 / オルガノイド培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の大腸腫瘍の切除組織からDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて大腸発がんに寄与することが知られている既知の遺伝子をターゲットとした遺伝子パネル検査を行った。この結果、MLH1メチル化陽性大腸がんではAPC遺伝子変異が少ないという特徴を示し、家族性大腸腺腫症や散発性の大腸腺腫の多くはAPC遺伝子変異が端緒となって発生するのに対して異なる遺伝子変異パターンを示していた。このように病理組織学的に大腸管状腺腫と分類される病変には、多様な分子変化を示すサブグループが含まれる可能性が示唆された。 次に管状腺腫を有する患者を前向きに集積して、Cancer Tissue-Originated Spheroid(CTOS)法によるオルガノイド培養を行った。患者由来の管状腺腫組織を使用して、家族性大腸腺腫症8例(うち生殖細胞系列でのAPC遺伝子変異陽性6例、APC遺伝子変異陰性あるいは未検査2例)、Attenuated polyposis(累計20病変以上の大腸腺腫を認めた症例)5例、リンチ症候群5例、孤発性・その他3例の合計21症例に由来する63病変からのオルガノイド培養に成功した。管状腺腫の生物学的性質を検討するため、樹立したオルガノイドを単細胞に分離して培養したところ、管状腺腫にはスフェロイドとして増殖する能力の高い病変と低い病変とが存在することが明らかとなった。さらに高い増殖能を示したスフェロイドを再度単細胞に遊離して培養したところ、同様に増殖能の高いクローンと低いクローンとが混在していた。このことから管状腺腫はスフェロイド増殖能の点で生物学的な多様性を示すと考えられ、またスフェロイド増殖能は遺伝子変異以外の機序により制御されている可能性が示唆された。
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