2020 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌におけるlncRNAによる癌幹細胞制御メカニズムの解明と治療への応用
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19K08469
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土谷 博之 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00403402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 友彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (50639747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長鎖非コードRNA / NEAT1 / 肝細胞がん / ミトコンドリア / オートファジー / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、アデノウイルスベクターによる遺伝子特異的shRNA発現システムを構築した。またNEAT1ノックアウト細胞とは別にNEAT1過剰発現細胞を作製し、昨年度明らかにしたNEAT1によるオートファジー促進メカニズムについて検討を行った。その結果、NEAT1はオートファジー誘導を促進することによって放射線抵抗性を促進していることがわかった。さらにこのときNEAT1は、オートファジーの一種であるマイトファジーを誘導することで、放射線によって障害を受けたミトコンドリアの除去を促進していることが明らかになった。さらにマイトファジーの誘導により、ミトコンドリアから生じる酸化ストレスが軽減し、放射線抵抗性が亢進することが示された。このマイトファジー誘導には、昨年度見出したGABARAPだけでなく、ミトコンドリア特異的な抗酸化酵素であるSOD2も関与していることが明らかとなった。実際に肝細胞がんにおいてNEAT1を過剰発現あるいはノックダウンすると、SOD2の発現がそれぞれ上昇・減少していた。さらにNEAT1によって誘導されたSOD2はMEK1/2を活性化し、その上流のRAF1などを阻害するマルチキナーゼ阻害剤であるソラフェニブ抵抗性をもたらすことも示された。しかしNEAT1過剰発現細胞の、MEK1/2特異的阻害剤であるトラメチニブ感受性は、有意に亢進しており、NEAT1を標的とする新たな肝がん治療薬の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NEAT1が、GABARAPおよびSOD2を介して、ミトコンドリアの機能をマイトファジーを介して、放射線抵抗性を誘導していることが明らかにできた。さらに、現在肝細胞がんの治療薬の第一選択薬として使用されているソラフェニブに対する抵抗性メカニズムも明らかにすることができた。そして、まだ肝細胞がんへの適用は承認されていないが、新たな肝細胞がん治療薬としてのMEK1/2阻害剤の可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NEAT1によるSOD2、GABARAPの発現制御メカニズムについて、miRNAを中心に検討する。また、マイトファジーがNEAT1によるOXPHOS制御にどのような影響を持つのか明らかにする。
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