2022 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDs起因性小腸傷害における好中球細胞外トラップの役割と診断・治療法確立
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19K08474
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邉 俊雄 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50336773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘谷 祐二 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
大谷 恒史 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
谷川 徹也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (70423879)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NSAIDs |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討において、インドメタシン起因性小腸傷害は好中球依存的であること、蛍光2重免疫染色法を用いて本傷害において好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)が形成されていることを確認した。本年度では、ヒトNSAIDs起因性小腸傷害サンプルを用いて、蛍光免疫二重染色を行い、NETsが好中球の酵素であるMPOと共発現することを示し、ヒトNSAIDs起因性小腸傷害においてもNETsが関与していることを明らかにした。 マウスの実験では、NETsは抗シトルリン化ヒストンH3 (Cit-H3)を含む細胞外DNA成分として同定されるため、抗Cit-H3抗体を用いたWestern Blottingを行ったところ、6時間をピークにCitH3の発現亢進と、PAD4の発現亢進を認め、結果としてNETsの発現が亢進していることが判明した。 NETsのNSAIDS起因性小腸傷害に対する働きをさらに明らかにするために、PAD4阻害薬であるCl-amidineおよびStreptonigrinを投与しNETs抑制することにより、本傷害がCl-amidine投与群で27%、streptonigrin投与群で52%軽減することを確認した。これらの結果より本傷害においてNETs形成が傷害促進的の働いている可能性が示唆された。また、PAD4 KOマウスに対してNSAIDS起因性小腸傷害を作成したところ、肉眼的にも分子生物学的にもNSAIDS起因性小腸傷害の改善をみとめ、PAD4を介した経路でNETsがNSAIDS起因性小腸傷害の悪化因子であることがさらにあきらかになった。 また、腸内細菌の関与をあきらかにするために、LPSをNSAIDs起因性小腸傷害モデルに投与したところ障害が悪化することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で輸入薬剤の納期が遅くなっていることおよび、PAD4ノックアウトマウスを導入したため、その準備に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画時に計画した段階まで研究が進んでいる。現在のところ、NETsがNSAIDS起因性小腸傷害に深く関与していることは証明できている。そのため、現在の段階としては、実験結果を整理し論文として提出できる形にまとめている。 実験計画時には想定していなかった以上に研究が進んでおり、現在腸内細菌叢の関与を証明するために、マウスに抗生剤投与を行い、腸内細菌によるNETsの活性化についてを証明するための実験を行っている。 現在論文作成段階となっているため、論文投稿段階で追加実験が必要な際には追加実験ができるように、マウスの系統維持および、実験系の維持は引き続きおこなっている。
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Causes of Carryover |
実験が予定より遅れており、論文化のために追加実験が必要となったため。 現在の実験に加えて、マウスに抗生剤投与実験、論文のリバイスに必要な実験などを行う予定としています。
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