2021 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiological role of inflammatory and metabolic signals during aortic aneurysm formation in Marfan syndrome
Project/Area Number |
19K08484
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 憲文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60436483)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | マルファン症候群 / ロイスディーツ症候群 / マクロファージ / TGFβシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
マルファン症候群(MFS)やロイスディーツ症候群(LDS)は、若年で致死的な大動脈解離を発症する。MFSではフィブリリン1の構造・機能破綻のために組織脆弱性とトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)シグナルが活性化するが、その他のシグナル伝達は不明である。LDSでは1,2型TGFβ受容体に異常があり、その動脈壁ではTGFβシグナルが活性化していることが知られている。また、外科検体の検討から、重症例ほど大動脈外壁への炎症細胞の浸潤が多く、病態の進展に大きく関与していることが示唆されている。本課題では、複数の遺伝性大動脈瘤・解離モデルを用いて、その発症・進展における炎症細胞の役割、特にマクロファージにおけるTGFβシグナルの意義に着目し、マクロファージ特異的にTGFβシグナルを欠落させた病態モデルマウスの解析を行った。 マルファンモデルマウス(Fbn1C1039G/+)において、マクロファージ特異的にII型TGFβ受容体(Tgfbr2)を欠損させたところ(Fbn1C1039G/+;Tgfbr2MyeKO)、その動脈瘤形成は有意に抑制され、動脈壁における弾性繊維の断裂も軽減した。その際、大動脈外膜側へのF4/80陽性マクロファージの浸潤は少なくなり、動脈壁におけるSMAD2/3, ERK1/2シグナルの活性化も有意に抑制された。マクロファージ様細胞Raw264.7を用いたin vitroの解析では、マクロファージにおけるTGFβシグナルの活性化は、その遊走能の亢進に関与することが判明したことから、動脈壁で活性化したTGFβシグナルはマクロファージ浸潤を誘導し、このことが動脈瘤形成を促進させる可能性がある。LDSモデルでも同様の結果を見出しており、炎症細胞におけるTGFβシグナル抑制は、遺伝性大動脈瘤における治療標的となる可能性がある。
|
Research Products
(9 results)