2021 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪における血管老化制御を介した新たな恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
19K08485
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
古内 亮 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (60750073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 逸平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60444056)
南野 徹 順天堂大学, 医学部, 教授 (90328063)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / 老化 / SIRT1 / Senolysis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では活発な代謝臓器である褐色脂肪組織(BAT)の老化・肥満に伴う毛細血管網の破綻作用機序の解明を目指し研究を進めた。BATは活性化することでエネルギー消費を高め肥満症や糖尿病を抑制すると考えられているが、メタボリックストレスなどにより機能低下する。BAT機能低下の機序として毛細血管網の破綻が示唆されているが、その機序は不明確であったため解明に取り組んだ。 BAT機能不全マウスではBATおよびBATの内皮細胞(EC)のNAD-dependent protein deacetylase sirtuin-1(SIRT-1)の発現が低下していることを見出した。SIRT-1活性化剤であるポリフェノール素材の投与モデルおよびBAT特異的SIRT-1欠損マウス、EC特異的SIRT-1欠損マウスを作製し解析を進めた。メタボリックストレス等により生じる遊離脂肪酸はECのアポトーシスを促進し毛細血管網を希薄化させるが、EC-SIRT-1はECアポトーシス抑制的に作用することでBAT機能の恒常性を保っていることが示唆された。 SIRT-1は老化抑制的に働くと考えられているが、BAT機能不全ではEC-SIRT1は老化が進んでいると考えられる。近年、選択的細胞老化除去による老化の治療が注目されており、BAT機能の治療にも応用できると考え候補成分の探索を実施し、老化ECを除去するハーブ成分senolytic compound R(SC-R)を得た。SC-Rは全身の耐糖能を改善すること、脂肪組織の老化マーカーの発現を低下させることを確認した。 本研究からBATの機能不全の作用機序としてBAT-ECのSIRT-1の抗アポトーシス効果が一因であることが示唆され、その治療としてSIRT-1活性化剤や選択的細胞老化除去剤の利用の可能性を示すことができた。
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