2021 Fiscal Year Annual Research Report
多面的な作用をもつHDLと細胞とのインタラクションの解明
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19K08490
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
入野 康宏 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10415565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杜 隆嗣 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (50379418)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高比重リポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化に伴って増加する心血管疾患に対する治療戦略として、血清脂質の量的管理のみならず質的管理(Lipoquality)の重要性が認識されるようになった。とくに、HDL (high-density lipoproteins:高密度リポタンパク質)の抗動脈硬化機能が心血管疾患の新たな治療標的として注目を集めている。HDLの重要性は、量(HDL-C値)から質(HDL機能)であると認識されつつあり、近年盛んにHDL機能の多様性が報告されているが、その制御機構は十分に解明されているとは言い難い。そこで、HDLが多面的な作用を有している理由を解明することを目的とした。 本年度は、HDLを構成する脂質とHDL機能の関連性を検討するために、冠動脈造影または経皮的冠動脈インターベンション後の患者のHDL機能とHDLリン脂質中に含まれるエライジン酸を測定し、人工HDLを用いた解析により、HDLリン脂質がHDL機能が与える影響を調べた。HDL機能はHDL中のリン脂質との正の相関を示したが、HDL中のリン脂質中のエライジン酸の割合とHDL機能には負の相関があった。人工的に作製したHDLのエライジン酸-ホスファチジルコリン(PC)含量を増加させると、PCにオレイン酸を含む人工HDLと比較して、HDLの粒子径およびHDL機能に変化は認められなかった。組換えヒト・レシチン・コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)はHDL機能を亢進し、エライジン酸をPCに含む人工HDLではLCAT依存的なHDL機能の促進およびLCAT依存的なコレステロールエステル化は抑制された。 したがって、HDL機能はHDL中のリン脂質濃度、HDL中のリン脂質のアシル基組成、LCAT依存的なコレステロールエステル化に影響されることがわかった。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Effects of Elaidic Acid on HDL Cholesterol Uptake Capacity2021
Author(s)
Takuya Iino, Ryuji Toh, Manabu Nagao, Masakazu Shinohara, Amane Harada, Katsuhiro Murakami, Yasuhiro Irino, Makoto Nishimori, Sachiko Yoshikawa, Yutaro Seto, Tatsuro Ishida, Ken-Ichi Hirata
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Journal Title
Nutrients
Volume: 12
Pages: 3112
DOI
Peer Reviewed / Open Access