2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満におけるアルドステロンを介する新規交感神経活動亢進機序
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19K08497
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
森本 聡 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80257534)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血圧 / 食塩嗜好 / 室傍核 / レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満患者は心血管合併症の発症リスクが高く、交感神経活動(SNA)の亢進が関与していると考えられている。研究代表者は、「肥満では、過剰に産生されたアルドステロン(Ald)が、脳内レニン-アンジオテンシン(Ang)- Ald系(RAAS)に直接的かつ/あるいは間接的に作用し、食塩嗜好やSNAの亢進をもたらす」、という仮説を打ち立てた。本研究では、その妥当性を検証するために、Aldの全身投与が脳内RAAS・食塩嗜好・SNAに及ぼす影響(実験1)、肥満における脳内RAAS・食塩嗜好・SNAの変化(実験2)、および肥満における脳内RAASが食塩嗜好・SNAに及ぼす影響(実験3)についての検討を行なうこととした。 2019年度には実験1の大半が終了した。7週齢の雄性ラットに血圧測定用テレメトリーを挿入し、血圧、脈拍数、血管SNAの連続測定が行えるようにした。8週齢時よりAldの連日皮下投与を行ったところ、血圧が徐々に増加を示すことが確認された。さらに、9週齢時に側脳室内に薬物注入用カニュラを挿入し、各種薬剤を3週間側脳室内に持続注入した。対照液の側脳室内注入は、Ald皮下投与による血圧上昇には明らかな影響を及ぼさなかったが、上皮型Naチャネル拮抗薬、組織RAASの調節因子である(プロ)レニン受容体[(P)RR]に対する阻害薬、Ang受容体拮抗薬(ARB)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRB)の注入により血圧上昇が抑制された。また、Aldの皮下投与により食塩嗜好が著明に増加するが、この増加はこれら薬剤の投与により抑制されることが確認された。現在、12週齢時に断頭屠殺し、血漿Ald濃度およびSNAの制御中枢である室傍核内の(P)RR mRNA・Ang変換酵素(ACE) mRNA・Ang 1型受容体(AT1R) mRNA・Ang II・Ald発現量の測定を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テレメトリー用カテーテルや、側脳室内薬物注入用カニュラの挿入がうまくいかず、何度もやり直しをする必要があり、各種薬剤の血圧・脈拍数・血管SNAに及ぼす影響を見る作業に時間がかかってしまった。食塩嗜好の評価は順調に行うことができた。血液および脳組織における濃度・発現量の測定は順調に行えるものと見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2020年度には、引き続き工夫をこらしながら実験を進めて行く。実験1は間もなく終了すると予想され、その後順次実験2、実験3を行っていく。分子生物学的実験においては、熟練している当科の研究助手に協力を依頼し、スピーディに実験を展開していく予定である。
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