2020 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病によるミトコンドリア内へのカルシウム流入の低下が心筋の拡張障害に果たす役割
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19K08507
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
進藤 千代彦 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (10216228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 昌人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30302110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グルコース値 / 心筋就職力 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)グルコース値上昇の心筋収縮弛緩能に対する影響 正常ラットから摘出した多細胞心室筋(トラベクラ)においてグルコース値を150から400mg/dLに上昇させると、収縮力と最大収縮速度・最小弛緩速度の低下、カルシウム・カルモデュリン依存性プロテインキナーゼⅡ(CaMKⅡ)の活性化、トロポニンIのリン酸化割合の上昇が認められたが、細胞内カルシウムは変化しなかった。CaMKⅡの阻害薬であるKN93は、これらの変化を抑制した。さらに、ヘキソサミン合成経路を抑制するために、D-fructose-6-phosphate amidotransferaseを阻害することにより、これらの変化が抑制された。この結果より、グルコース値の上昇がヘキソサミン合成経路を介してCaMKⅡを活性化し、この活性化がトロポニンIのリン酸化による心筋の収縮と弛緩動態に関与していることが示唆された。 2) 張力と細胞内カルシウムの測定 ラットにストレプトゾトシン(STZ)液と対照液を皮下注射したところ、STZ投与ラットでは8週後に有意な血糖値の上昇と体重低下減少が認められた。STZラットより摘出した多細胞心室筋(トラベクラ)において、サルコメア長2.0μmにおける発生張力、最大収縮速度、最小弛緩速度の低下が認められた。更には、細胞内ピークカルシウム濃度の低下、細胞内カルシウム低下速度の延長が認められた。トロポニンIのリン酸化割合は両群ラットで変化が見られなかった。 糖尿病肥満モデルdb/dbマウスでは体重増加と血糖値の上昇と認めた。db/dbマウスから摘出したトラベクラにおいても最小弛緩速度の低下、細胞内カルシウム低下速度の延長が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大により、研究室への入室制限や研究時間の制限が生じ、実験計画の遂行に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1) タンパク発現の比較 ストレプトゾトシン(STZ)ラットとコントロール・ラットにおけるミトコンドリア・カルシウム・ユニポーター(MCU)、筋小胞体カルシウムポンプ(SERCA)、SERCA活性を制御するホスホランバン(PLB)の発現を比較する。 2)MCU欠損マウスを用いた検討 Myh6-cre+/-マウスは既に保有しているが、MCUflox/floxマウスをジャクソン研究所より購入する。このMCUflox/floxマウスとα-myosin heavy chain (Myh6)-cre+/-マウスを交配することにより、心筋特異的MCU欠損マウス(MCUflox/flox/ Myh6-cre+/-)を作製する。心筋特異的MCU欠損マウスのリッターメイトマウスをコントロールマウスとして用いる。心筋特異的MCU欠損マウスとコントロールマウスそれぞれに、対照液とSTZ液(200mg/kg)を皮下注射し、心筋特異的MCU欠損マウスとコントロールマウスそれぞれの対照マウスとSTZマウスの4群においてMCUタンパク発現の比較、STZ液の投与による変化の比較を皮下注射3週間後に行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究室への入室制限や研究時間の制限、学会や研究会が中止・延期が生じ、そのため次年度使用額が生じた。 研究計画遂行の遅れを取り戻すべく、試薬や実験器具等に使用することとする。
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[Presentation] Right ventricular longitudinal strain with CMR can more accurately estimate right ventricular functional reserve in rats with pulmonary arterial hypertension2020
Author(s)
Haruka Sato, Yuka Someya, Yui Takahashi, Masami Nishiyama, Ayana Matsumoto, Natsuki Morita, Chiyohiko Shindoh, Hideki Ota, Takuya Ueda, Ryuta Kawashima, Masahito Miura
Organizer
ESC Congress 2020
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