2019 Fiscal Year Research-status Report
活性化好中球が動脈硬化症における慢性的血管炎症を進展させる機序の解明
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19K08511
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 雅幸 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (80282771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 瑞子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (00581711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好中球 / 好中球細胞外トラップ / 白血球接着 / CXCL1 |
Outline of Annual Research Achievements |
①動脈硬化巣形成前に起こる白血球接着に対する好中球細胞外トラップの関与:動脈硬化症モデルマウスであるLDL受容体欠損(LDLR-/-)マウスは大腿動脈における白血球接着が野生型マウスに対して亢進することが生体内蛍光顕微鏡によって明らかとなった。さらに、顆粒球特異的にGFPを発現するLDLR-/-LysM-eGFPマウスに対するクロドロネートリポソームによる単球除去は白血球接着に影響を与えなかった。この結果から、動脈硬化巣形成前のLDLR-/-マウスで接着する白血球分画は好中球であることが分かった。また、ヒストンシトルリン化を抑制することによって好中球細胞外トラップ(NETs)を抑制するPAD4 inhibitorの投与によって、好中球接着数の減少がみられた。従って、シトルリン化好中球やNETsは動脈硬化巣形成前の白血球接着に関与することが示唆された。 ②動脈硬化症におけるNETsを誘発する因子の同定:LDLR-/-マウスの末梢血についてcytokine arrayを行った。好中球の遊走や活性化に関与する因子のうち、CXCL1の抑制によって好中球のシトルリン化が減少したことからCXCL1が重要であることが示された。さらに、CXCL1を投与したマウスでは好中球接着が亢進した。 ③CXCL1は好中球様培養細胞HL-60において、ヒストン以外のタンパクをシトルリン化することが質量分析によって明らかとなった。 これらの得られた研究業績について国内の学術集会において3演題の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、動脈硬化症における血管炎症に対するNETsの関与について検証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
LDLR欠損マウスに高脂肪食を負荷し、同時にPAD4阻害剤を投与して血管内膜に集積する白 血球数やその分画の変化を検討する。また、NETsによる慢性炎症の誘発を検証するためにCXCL1を刺激した好中球HL-60を接着させたヒト内皮細胞に対する生理的流速下での単球THP-1の接着現象とPAD4阻害剤によるTHP-1接着抑制を検討する。さらに、その機序を解明するためにインテグリンの発現や活性化についても検討する。これらの結果を踏まえてNETsによる動脈硬化巣形成におけるNETsの関与を検討する。
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Causes of Carryover |
使用予定だったが、不足のため使用することができなかった。次年度交付金と併せて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)