2020 Fiscal Year Research-status Report
活性化好中球が動脈硬化症における慢性的血管炎症を進展させる機序の解明
Project/Area Number |
19K08511
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 雅幸 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (80282771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 瑞子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (00581711)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 好中球 / 好中球細胞外トラップ / 血管炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症モデル動物であるLDL受容体欠損(LDLR-/-)マウスに高脂肪食を4週間与えると、血中のコレステロールだけでなく、中性脂肪が著明に増加することが脂質プロファイリングによって明らかになった。一方、野生型マウスに対する高脂肪食では中性脂肪の上昇は見られなかった。さらに、これらのマウスから末梢血好中球を採取してシトルリン化ヒストンに対する免疫染色を行ったところ、高脂肪食を摂取したLDLR-/-マウスの好中球では野生型マウスや普通食を摂取したLDLR-/-マウスに対し、ヒストンシトルリン化が亢進していることが分かった。これらの結果から血中の中性脂肪の上昇が好中球ヒストンのシトルリン化の亢進に関与することが推察された。そこで、血中のトリグリセリド低下作用とHDLコレステロールの上昇作用をもつ抗高脂血症薬の選択的ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)モジュレーター、ペマフィブラートを高脂肪食を摂取したLDLR-/-マウスに投与して中性脂肪の低下によるヒストンシトルリン化に対する効果を検討した。ペマフィブラート投与は大腿動脈の血管内膜への好中球接着を抑制することが生体内リアルタイムイメージングによって観察された。さらに、CXCL1やC5aの血中濃度を減少し、末梢血中の好中球ヒストンシトルリン化を抑制した。これらの結果は脂質異常が好中球のヒストンシトルリン化に関与することとヒストンシトルリン化が血管炎症に関与することを示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動脈硬化症関連血管炎症における好中球ヒストンシトルリン化の関与が明らかとなった。さらに、脂質異常の改善がシトルリン化を減弱し、血管炎症を抑制することが解明された。
|
Strategy for Future Research Activity |
好中球細胞外トラップやヒストンシトルリン化好中球が単球接着を誘導するか、in vitroで検証する。
|
Causes of Carryover |
購入予定の消耗品の納品価格と調整が不可能だったため、次年度予算と合わせて使用することとした。
|
Research Products
(4 results)