2019 Fiscal Year Research-status Report
βアレスチン一酸化窒素修飾のケモカインシグナル調節機構と動脈硬化との関連について
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19K08515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 宏樹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (20813364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 翻訳後修飾 / 単球 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化は慢性炎症が基盤となり異常な脂質バランスと免疫反応によって引き起こされる慢性炎症状態であり、単球およびマクロファージは動脈硬化形成において大きな役割を果たすことが知られている。ケモカイン受容体はGPCR(G protein coupled receptor)の一つであり、単球の遊走活性、増殖活性、アポトーシス制御機能等を調節している。ケモカインは一種類のリガンドが数種類の受容体を作用することでシグナル伝達の多様化を作り出すことが知られているが、CX3CL1(Fractalkine/CX3CL1)は作用する受容体が一種類(CX3CR1)のみが報告されており、そのシグナル伝達調節はよく知られていない。これまでの検討で、GPCRの調節分子であるβアレスチンはNOによって修飾(S-ニトロシル化)を受けることで機能が変化し、アドレナリン受容体のシグナルに影響することを明らかにしてきた。本検討のおいてはこのCX3CR1のシグナル伝達がβアレスチンの翻訳後修飾によって調節される可能性と動脈硬化病態への役割について検討を行う。 まずHEK293細胞を用いてシグナル伝達について検討を行うためにCX3CR1の安定発現株を樹立した。CX3CR1安定発現HEK293細胞においてCX3CL1刺激でERKのリン酸化が野生型HEK293細胞に比べ増強されていることを確認した。次に遊走活性をRAW264.7細胞を用いて検討した。同様にiNOSとβアレスチン2野生型または翻訳後修飾を受けない変異体(C253S)を発現させCX3CL1で刺激し、遊走活性をBoyden chamberを用いて検討した。その結果、iNOSと野生型βアレスチン2を発現させた群において遊走活性が増強している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HEK293細胞のCX3CR1安定発現株の樹立に時間がかかってしまったことにより、その後の実験に遅れがでてしまったが、シグナルが増強されるような安定発現株がしっかり樹立できた。またRAW細胞を用いてβアレスチン2の翻訳後修飾が遊走活性に影響を与える可能性について見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は安定発現株を用いてβアレスチン翻訳後修飾によるシグナル伝達に与える影響を詳細に検討する。単球においてもLPS等で刺激した場合での遊走活性を検討していく。
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