2019 Fiscal Year Research-status Report
血管における糖鎖シグナルの制御を介した動脈硬化症治療の解明
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19K08527
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
八木 敬子 神戸薬科大学, 薬学部, 研究員 (00309436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 血管糖鎖 / プロテオグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖は複数の単糖が結合して構成されている。単糖は複数の結合部位を持つため、様々な構造をとる。また、単糖は糖以外の物質とも結合し、他の物質と結合して糖鎖を構成する際、様々な結合様式をとり、相互作用をもつ。また、細胞により、同じ糖鎖であっても異なる構造をとったり、細胞の代謝や栄養状態や微小環境によっても様々に修飾される。このように複雑で変化に富む糖鎖を対象とした研究は非常に難しいとされる。特に、生体内での糖鎖の修飾の組み合わせを解読する方法は未だ開発されていない。 日本人死亡原因の約25% を占める脳血管疾患や心疾患は動脈硬化性疾患である。現在、動脈硬化を直接治療する薬はなく、新しい病態メカニズムの解明が必要である。動脈硬化の発症・進展仮説の一つに「貯留反応説」がある。DLの血管壁への蓄積が動脈硬化の発症起点とするもので、LDLの貯留に血管壁の糖鎖が関わるとするものだが、詳細はわかっていない。 本研究は、動脈硬化発症・進展における糖鎖伸長機構をあきらかにするとともに、糖鎖の伸長を抑制することが、動脈硬化発症・進展を防ぐことになるかを検証することを目的とする。 当該年度は、糖鎖合成酵素遺伝子改変マウスに動脈硬化症を発症させ、野生型と比較し、動脈硬化症の程度が軽減するかを検証した。その結果、仮説通り、糖鎖合成酵素遺伝子改変マウスでは糖鎖の伸長が野生型マウスと比較して抑制されており、血管の糖鎖長は短かいことが明らかとなった。また大動脈における動脈硬化巣の形成は糖鎖合成酵素遺伝子改変マウスで明らかに抑制されていた。さらに疾病成立に関連する責任細胞を、網羅的遺伝子解析および細胞マーカーを用いて同定することを試み、血管平滑筋細胞およびマクロファージの関与を示す結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原因が明らかでないもののマウス交配・出産に時間を要し、実験に十分な数のマウスを得るのに時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初より予定されていた下記研究を進める。 ①疾病成立に関連する責任細胞を、細胞マーカーを用いて同定する。また、培養細胞を用いて、単一細胞レベルで病態の形成が再現できることを確認する。 ②責任細胞の糖鎖を是正することで、動脈硬化発症進展に与える影響を検証するため、まずは単一の細胞を用い、動脈硬化増悪因子に対する応答の変化を確認する。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの交配に予想以上の時間を要し、実験を遂行する十分な数のマウスを得るのに時間がかかってしまったことが主たる原因で今年度予定した研究計画が大幅に遅れてしまったため。 それらの予定していた実験は次年度に行うと同時に、当初から予定されていた次年度分の研究も合わせて実施する予定である。
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