2019 Fiscal Year Research-status Report
冠攣縮性狭心症におけるカルモジュリンキナーゼの役割と新たな治療戦略の開発
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19K08530
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
富田 泰史 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00431437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 賢二 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90632993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 冠攣縮 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床例に即した冠攣縮性狭心症動物モデルとして我々が作成したヒトR257H亜型PLC-delta 1血管平滑筋過剰発現マウス(PLC-TGマウス)を用いて、カルベジロールの冠攣縮抑制効果を検討した。PLC-TGマウスにアゴニスト(エルゴノビン)を投与すると体表面心電図にてST上昇が観察された。カルベジロールの投与は心拍数や血圧に影響を与えることなく、冠攣縮を抑制した。さらにラット大動脈平滑筋細胞にM3レセプターならびに変異型PLC-delta1をトランスフェクションし、アセチルコリンで刺激したところ、カルシウムの細胞内への流入はコントロール群とカルベジロール群で差を認めなかった。すなわちカルベジロールは細胞内へのカルシウム流入を抑制することなく、冠攣縮を抑制することが示唆された。現在そのメカニズムを検討中である。(2020日本循環器学会学術集会採択) 冠攣縮性狭心症患者20名より得られたゲノムDNAを使用し、CaMKIIの遺伝子変異を検討した。20名全てにおいてアミノ酸翻訳領域におけるCaMKII遺伝子変異を認めなかった。次に、冠攣縮性狭心症患者50名ならびにコントロール群50名より得られたゲノムDNAを使用し、平滑筋細胞の収縮に関与しているとされるβアレスチン1の遺伝子変異を直接DNAシーケンス法にて検討した。その結果、冠攣縮性狭心症患者11例(22%)ならびに対照群8例(16%)に、エクソン5領域176番目のヘテロ接合型の一塩基置換(C→T)を認めた。しかし二群間において変異の検出率に差を認めなかった。この一塩基置換はSNP(rs877711)として既に知られており、アミノ酸置換を伴わなかった(His111His、サイレント変異)。(2020日本循環器学会学術集会採択)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載された研究計画がおおむね実行されている。冠攣縮の新しい機序としてのカルシウム感受性亢進の関与について、興味深い結果が得られている。また、冠攣縮に関与する分子の遺伝子解析も順調に進展しており、上記区分(2)に該当すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の研究計画に沿った実験をすすめていく。AKAP-KOマウスならびにPLC-TGマウスで見出されたカルシウム感受性亢進を介する新しい冠攣縮のメカニズムについて、その機序解明をすすめる。さらに、カルシウム感受性亢進を抑制するとされるカルベジロールの冠攣縮抑制効果についてiPS細胞技術などを用いて検討し、研究をすすめていく。
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[Presentation] Blockade of protease activated receptor-1 signaling attenuates cardiac hypertrophy and fibrosis in renin-overexpressing hypertensive mice2019
Author(s)
Yokono Y, Narita M, Kawamura Y, Kato T, Kudo N, Tsushima M, Toyama Y, Hanada K, Shimada M, Makoto T, Osanai T, Tomita H
Organizer
European Society of Cardiology (ESC) Congress 2019
Int'l Joint Research
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