2019 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiological Study on Aortopathy towards Prevention
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19K08535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森崎 隆幸 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (30174410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森崎 裕子 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会(臨床研究施設・研究部門), 臨床遺伝科医局, 医長 (40311451)
小原 收 公益財団法人かずさDNA研究所, その他部局等, 副所長 (20370926)
藤木 亮次 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 特任研究員 (40534516) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 病因遺伝子 / 循環器 / 遺伝性疾患 / 病態解析 / 大動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性大動脈疾患は病因遺伝子の解明が進み、診断が適切に行われるようになったが、まだ未診断で発症予防にむけた管理が行われていない症例も少なくない。そこで、本研究は、疾患コホートを用いて、未診断で病変を有する症例の検出法の評価、検出方法の確立により、遺伝学的検査の改善をめざすとともに、病型分類につながる遺伝型についても検討する。 本研究では、遺伝性動脈疾患につき利用可能な患者試料と情報を用いて、①当該患者の把握、②高精度診断につながる解析方法の確立、③新規病因遺伝子の探索を行う。これにより、遺伝性動脈疾患の診断、治療につながる学術基盤と情報基盤を得て、致死的な疾患イベントにつながりやすい大動脈疾患の克服をめざす。 本年度は、当該患者の把握につながる遺伝情報の獲得にむけて、27万人の疾患コホート患者から大動脈瘤既往歴患者のうち、若年患者の抽出を行い、病因遺伝子の検討対象症例の選別情報に向けたゲノム試料と臨床情報を把握する対象を選定した。また、遺伝学的検査を行った若年または遺伝性大動脈疾患患者のうち、既知病因遺伝子変異の同定されなかった症例、既知手法では診断精度が十分に得られなかった症例を、新規手法(RNA解析)対象症例として選定した。これらの選定患者のゲノム試料、臨床情報は次年度以降の解析対象とした。また、次年度実施予定のエクソーム解析ならびにRNA解析については手法の確認を終え、実解析の準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、遺伝性動脈疾患につき利用可能な患者試料と情報を用いて、①当該患者の把握、②高精度診断につながる解析方法の確立、③新規病因遺伝子の探索を行い、これにより、遺伝性動脈疾患の診断、治療につながる学術基盤と情報基盤を得て、致死的な疾患イベントにつながりやすい大動脈疾患の克服をめざす。本年度は初年度として次の各項目について研究は進捗した。 1)病因遺伝子の検討対象症例の把握に向けて:対象症例試料の確認と臨床情報の把握:27万人の疾患コホートBBJには大動脈瘤の既往歴を有する患者が含まれており、50歳以下の患者26人が抽出された。該当患者のゲノムDNA試料を遺伝子解析目的に選別し、同時に、当該患者の併存疾患情報、検査情報などの臨床情報の抽出を行った。別に、遺伝性検査を行った若年あるいは遺伝性大動脈疾患患者で研究同意を受けた患者のうち、既知の病因遺伝子変異を認めなかった家族歴を有する患者を選別した。以上の症例について、次年度以降次世代シークエンサーNGSを用いて変異解析を行い、臨床情報とともに解析し、遺伝子検査対象となる患者の識別に有用な情報を抽出する。 2)高精度の診断につながる解析方法の確立に向けた手法の確認:RNA解析を併用した遺伝学的検査について手法の確認を行い、次年度以降の研究準備が整った。 3)新規病因遺伝子の探索にむけた解析対象症例の選別:1)で選別した症例については、次年度以降、この目的での解析対象にもする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和2年度)以降は、初年度で選別した症例についての解析検討を推進する。また、27万人の疾患コホートBBJの大動脈瘤の既往歴を有する患者のうち、50歳以上の患者についても、初年度選別の26人を用いた解析結果の評価後に追加選別し、得られた研究成果の確認あるいは検証として利用する予定である。初年度の成果に基づき、次の各事項の研究を推進し、研究目的達成をはかる。 1)病因遺伝子の検討対象症例の把握に向けた検討:疾患コホートBBJ症例のうち大動脈瘤の既往歴を有する患者ならびに遺伝性検査により既知の大動脈疾患病因遺伝子の変異未同定、未確定の若年あるいは遺伝性大動脈疾患患者試料についてNGSを用いて全エクソーム解析を行い、臨床情報を用いた解析を行って、検査前の患者の識別に有用な情報を抽出し、同時に3)につながる遺伝子情報を獲得する。 2)高精度診断につながる解析方法の確立:研究同意をうけた若年あるいは遺伝性大動脈疾患患者について、RNA解析を併用した病因遺伝子構造変化同定を含む新しい検査手法を検討し、ゲノムDNA解析とRNA解析の併用による診断精度向上について検討を行う。 3)新規病因遺伝子の探索に向けた検討:1)ならびに既にデータベース化された疾患コホートBBJのゲノム全域にわたる90万SNPの解析データを用いて、病因に関係する領域の絞り込みを行い、動脈疾患の新規病因遺伝子、病態修飾遺伝子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度は遺伝性検査を行った若年あるいは遺伝性大動脈疾患患者で研究同意を受けた患者のうち、既知の病因遺伝子変異を認めなかった家族歴を有する患者症例数が予定より少数であり研究費使用額が予定より少額となり、また、これに伴い、成果発表打合せ旅費使用額も減ることとなった。 一方、2020年度の本研究費による研究解析必要数ならびに研究必要額は予定より増加する見込みであるため、研究進捗にむけて、前年度分を合わせて研究解析に必要な経費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)