2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of anti- atherosclerotic drugs using deep learning- based image analysis
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19K08549
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
楠本 大 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70571727)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深層学習 / 抗老化 / 血管内皮細胞 / 薬剤スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、培養血管内皮細胞(HUVEC)で3種類の老化誘導法(酸化ストレス、抗癌剤、複製ストレス)を用いて細胞老化を誘導した。老化細胞および健康細胞の顕微鏡写真を取得し、自動的に1細胞解像度にて画像を切り取りCNNへの入力画像とした。画像を大量に取得し、CNNの学習を行っいF1スコアと精度が0.9以上、ROC曲線のAUC0.98 という高精度での学習に成功した。学習したさらにはCNNが、未知の画像に対しても高い精度で判定可能か検証した。結果として、同様に精度、F1スコアいずれも0.9程度での予想が可能であり、ROC曲線のAUCも0.95を、いずれの予想でも超えていた。重要なことに、老化誘導法に関わらず高精度での判定が可能であり、細胞老化に特徴的な形態を判定していることが予想された。CNNによる判定の根拠を確かめるため、Grad-CAMという手法を用いて、判定の根拠となる画像の部位をヒートマップ にて表示した。すると老化細胞では細胞核内の不均一さを認識していることが判明し、老化細胞でのクロマチンの変化などを同定していると考えられた。次に定量的に細胞老化スコアを算出するシステムの開発に取り組んだ。段階的に老化を誘導し、学習済みの分類CNNを用いて判定を行なった際に出力される老化確率に着目すると、一見老化確率は0付近、1付近に固まっており中間的な数値はないように思われたが、老化確率の平均値を算出すると、段階的な老化誘導と高い相関関係を有することを発見した。このことを利用して老化スコアの算出を行い、高い線形関係を有するスコアが算出された。(ピアソン相関係数0.9以上)我々は同システムを“Deep Learning-Based Senescence Scoring System by Morphology (Deep-SeSMo)”と命名した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、非常に高い精度にて老化細胞を認識するシステム開発に成功し、老化を定量的スコアにて評価することにも成功し、予定通り進行していると考える。今後は計画書に沿って実際に薬剤スクリーニングを実行し、効果を検証することで論文投稿を目指していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Deep-SeSMoが正しく抗老化作用を判定可能か確かめる。Sirt1活性化剤であるNMN、あるいはmetforminは、細胞老化を抑制することで個体の老化を抑制することがよく知られている。そこで、老化細胞にNMN, Metforminを投与し、老化抑制させた状態でDeep-SeSMoによる判定を行う。また本システムによる大きな利点は高速スクリーニングが可能ということであり、判定に要する時間を算出する。Deep-SeSmoの判定精度を検証したのちは薬剤スクリーニングを実行する。実際にはまず80種類のキナーゼ阻害薬ライブラリーを用いてスクリーニングを行う方針である。今までと同様に薬剤投与下での顕微鏡画像撮影を、3種類すべての老化誘導法を用いて行い、老化誘導を繰り返すことでなるべく質の高い結果を得る予定である。各評価で老化スコアを算出し、ランキングとしてプロットを行った。ランキングの中央値から、top薬剤の抽出を行う。抽出した薬剤が実際に抗老化作用を有しているかどうかは既存の分子生物学的手法を用いて検証を行なう予定である。老化染色であるSA-b-GAL染色、さらに細胞老化に重要とされるP21-P53経路を抑制可能であるかどうかすることがウェスタンブロッティング、及びqPCR法を用いて確認を行う。またさらにこれらの薬剤の詳細な分子機序を解明するためRNAシーケンスを用いた解析を実行する。4つの薬剤で共通して変動が大きい遺伝子を抽出し、抗老化の詳細なメカニズムを検証するとともに、個別の薬剤の作用機序を検討する。さらには、個別の薬剤の作用機序に関して、タンパク質レベルでのリン酸化を見ることで薬剤ターゲットを推定し、さらに時間的猶予があれば動物モデルを用いた検証を行いたい。
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Causes of Carryover |
当初の計画通り進行しているが、今後薬剤スクリーニングの実行、候補薬剤の検証などの分子生物学的実験が増え、支出が増えることが予想されることから繰越予定となった。さらにはより精度の高い解析を行うためのサーバー管理も必要になると思われる。 次年度は、サーバー管理、サーバー整備、細胞培地、薬剤購入、抗体購入、網羅的スクリーニング実行、動物購入などを実行する予定である。
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