2021 Fiscal Year Annual Research Report
心筋ミトコンドリア/細胞質ATP可視化マウスによる心臓エナジェティクス解析
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19K08552
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小板橋 紀通 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (10420093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (00215047)
山本 正道 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任部長 (70423150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エナジェティクス / 心臓生理学 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
拍動しつづける心臓はエネルギーを持続的に必要とし, 細胞の基本的なエネルギー基質であるアデノシン三リン酸(ATP) をもっとも多く必要とする臓器である.常に動き続ける心臓のエネルギー代謝をリアルタイムにモニターすることはこれまで不可能であった. 我々は急激なATP濃度の変化を可視化するFRET蛋白質を利用してATP変動をin vivoで計測できるマウスを開発した. このマウスを用いて心臓のATP量を, 急性の負荷をかけて経時的に調べたところ, 心臓のATP濃度は酸素消費量の変化とともに変動することが分かった. また我々はミトコンドリア特異的のATP可視化マウスを作製した. このマウスを低酸素に暴露すると, 心臓のミトコンドリアのATPは直ちに低下し, その低下は心拍数の低下と同時に起こることが観察された. 冠動脈結紮による急性の心筋虚血を引き起こすと, 細胞質ATP可視化マウスでは局所で著明なATPの増加を認める一方, ミトコンドリアATP可視化マウスでは虚血領域での著明な低下を認めた. この両者のATP可視化マウスを様々な病態モデルで観察することにより, 拍動状態の心臓において, 虚血や外的負荷ストレスに対するATPの産生と消費, 蓄積と枯渇が, 可視化できる。心不全治療への新たな創薬に繋がる可能性がある.急性薬物負荷実験を施行し心毒性のある薬剤で有意に急性期のATP低下を認めた。COVID19問題により計画が遅れたが、糖尿病モデルにおいて、有意に心臓ミトコンドリアATPの低下があり、糖尿病性心筋症のメカニズムとしてミトコンドリアにおけるATP産生能の低下が考えられた。 論文をプレプリントとして2020年に発表している。
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