2022 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再灌流障害の克服を目指したSirt7の新たな機能解析
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19K08561
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 智 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (20706717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | sirt7 / 心筋虚血再灌流障害 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋虚血再灌流障害におけるSirt7の役割を検討するため、野生型マウスとおよびSirt7ノックアウトマウスを用いて心筋虚血再灌流障害モデルを作成した。1時間の虚血後に再灌流を行い、24時間後に解剖をおこない、Evans BlueおよびTTC染色によって心臓の虚血リスク領域、梗塞領域を同定した。両群で虚血リスク領域は変化ないものの、Sirt7ノックアウトマウスでは梗塞領域が優位に減少しており、Sirt7の欠如は虚血再灌流障害を減弱することが示唆された。 in vitroの検討ではラット新生児心筋細胞に対してSirt7もしくはcontrol siRNAを導入し、その後低酸素・再酸素化を行った。結果、Sirt7ノックダウンによりCleaved-Caspase3の増加が有意に抑制され、培養上清に放出されるLDHもSirt7ノックダウンにより有意に減少しており、Sirt7の減少が再灌流障害に対して保護的に働くことが示唆された。またqRT-PCRによる評価で低酸素/再酸素化後のHO-1やNQO-1といった抗酸化物質の発現がSirt7ノックダウンによる増加することも見出した。しかしHO-1およびNQO-1の転写制御因子であるNRF2の発現にはSirt7は影響しておらず、共免疫沈降法でもSirt7とNRF2との結合は見られなかった。NRF2は小Mafと2量体を作り、抗酸化剤応答配列(ARE)に結合することで標的遺伝子の発現を亢進することが報告されており、我々は共免疫沈降法でSirt7はMafGと結合することを見出し、さらにSirt7がMafGを脱アセチル化することを見出した。またNRF2によるNQO1プロモーター活性化はSirt7ノックダウンにより有意に増強されており、Sirt7がMafGを介してNRF2の転写活性を制御していることが示唆された。
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