2020 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクスを用いた全ゲノム解析による遺伝性不整脈疾患の新規発症機序の解明
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19K08566
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
村田 広茂 日本医科大学, 医学部, 助教 (30594014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
清水 渉 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50399606)
堀江 稔 滋賀医科大学, アジア疫学研究センター, 特任教授 (90183938)
相庭 武司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40574348)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性不整脈 / 心臓突然死 / エピジェネティクス / バイオインフォマティクス / 全ゲノムシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性不整脈疾患は、心臓突然死の原因となる致死性不整脈を発症する疾患群である。従来健康で社会に貢献する世代を突然襲う疾患であり、それにより失われる文化経済的損害は多大なものである。これを未然に予防、治療するためには疾患の遺伝子基盤に基づく発症機序を正確に同定することが非常に重要である。しかし、最も研究が進んでいるQT延長症候群で3割ほど、Brugada症候群にいたっては約8割の患者の原因遺伝子は不明である。そこで本研究では、ターゲット領域遺伝子解析や全エクソン解析等によっても原因遺伝子、病原性バリアントを同定できなかった心臓突然死の家系を対象とし、全ゲノム解析を行っている。研究2年目は、シークエンス結果が届き次第、平均500万個のSNPと5千個の構造バリアントを検出し、研究初年度に構築した最新のエピジェネティクス・データベースを導入したカスタムメイドの解析パイプラインを用いてバイオインフォマティクス解析を行った。その結果、心臓突然死の一家系で、PITX2-C4orf32遺伝子間領域に心臓突然死に関わる欠失を新たに同定し、さらに、心臓突然死7家系の疾患原因となっていることが判明した。そこで、患者由来iPS細胞を用いた機能解析を行ったところ、PITX2の発現、ANK2の発現を変化させる調節領域であることが判明し、学会報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、バイオインフォマティクス解析の準備を整えた。研究2年目は、候補患者の選定と遺伝子検査、シークエンスを順次施行し、結果の一部は、研究発表し、論文作成の準備中である。今後、順次、シークエンス結果の解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に作成した、最新のエピジェネティクス・データベースを導入したカスタムメイドの解析パイプラインを研究2年目に候補患者のシークエンス結果に導入した結果、問題点と改善点が明らかになった。今後、新たな解析手法を作成、順次、残りのシークエンス結果に導入する予定である。エピゲノム領域、非コード領域は、通常の遺伝子領域に比べ膨大のデータとなるため、ビックデータ解析となる。さらに高性能コンピュータを用意し解析することを検討する。
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Causes of Carryover |
研究初年度は、バイオインフォマティクス解析の準備を整えたが、研究2年目は順調に候補患者の選定と遺伝子検査、シークエンス結果のバイオインフォマティクス解析を行うことができた。既存の試料、PCを活用することで、研究費を多く要せず研究・発表を行えた。解析ソフトの更新とビックデータ解析に向けて、高性能コンピュータを新た発注、準備する予定を、次年度に繰り越しとしたため、次年度使用額が生じている。
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