2019 Fiscal Year Research-status Report
Bioinformatics analyses for identification of molecules which contribute to prognosis and treatment in viral myocarditis
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19K08569
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
尾村 誠一 近畿大学, 医学部, 助教 (80462480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウイルス性心筋炎 / トランスクリプトーム / バイオインフォマティクス / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はウイルス性心筋炎の動物モデルとしてタイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(Theiler's murine encephalomyelitis virus、タイラーウイルス)をC3Hマウスに感染させ、感染後4、7、60日目に採取した血液を用いて網羅的トランスクリプトーム解析を行った。その結果、4日目および7日目には自然免疫に関与するインターフェロン関連遺伝子、例えばinterferon-induced protein 44(Ifi44)やinterferon regulatory factor 7(Irf7)などの発現が上昇し、60日目には、pro-platelet basic protein(Ppbp)やplatelet factor 4(Pf4)などの血小板関連遺伝子およびCd3gなど獲得免疫に関与するT細胞関連遺伝子の発現が上昇した。全てのトランスクリプトームデータを用いた主成分分析(principal component analysis, PCA)では、第1主成分で4および7日目と60日目との間の全体的な発現パターンに明確な違いが見られ、Ifi44やIrf7などのインターフェロン関連遺伝子がこの違いに寄与していた。また、4日目と7日目のデータを用いたPCAでも明確な違いが見られた。これらの結果から、ウイルス性心筋炎の早期発見を可能とする血中代替マーカーが同定できる可能性が示唆された。現在は血液より単離した血小板中のRNAおよびウイルスの検出をシングルセルRNAシーケンシングにより試みている。 また、タイラーウイルス感染マウスは多発性硬化症のモデルとしても使用されており、そのRNAシーケンシングデータ、16S rRNAシーケンシングデータを用いて、バイオマーカー同定手法の確立を検討した。この手法を確立することができれば、心筋炎モデルにも応用できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究において、計画通りに急性期、亜急性期、慢性期におけるタイラーウイルス感染C3Hマウスの血液のトランスクリプトーム解析を行い、各病期における遺伝子発現パターンの違いを見出した。その中で血小板関連遺伝子の発現変化を見出し、血小板の役割から血小板中に含まれるRNAに違いがあるのではないかと考え、また、変異したウイルスRNAが含まれるのではないか、と考えて研究を遂行中である。さらに本研究で得られるデータからのバイオマーカー同定手法の確立を検討した。このことから、本研究は概ね計画通りに順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画通りに、ウイルスゲノムの変異の検出を試みる。変異が検出されればプラーク減少中和試験を行う。また、他の系統マウスで心筋炎モデルを作製し、C3Hマウスと同様の研究を行い、違いが見られるかを検討する。さらにRNAシーケンシングデータなどのビッグデータを用いたバイオインフォマティクス解析によりバイオマーカーを同定する手法を確立する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、トランスクリプトーム解析を行うために当初解析に必要な試薬の新規購入を計画していたが、すでに所持している試薬と別予算で購入した試薬で解析を行うのに十分であったため。 次年度繰越金と2020年度助成金とを合わせて、より多くのサンプルを作製しトランスクリプトーム解析を行う。それにより、より有意なデータが得られ、バイオマーカー同定につながると考える。
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Research Products
(12 results)