2019 Fiscal Year Research-status Report
新規昇圧物質CF6の内因性阻害物質の同定と創薬への応用
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19K08573
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 真実 弘前学院大学, 看護学部, 講師 (10720873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長内 智宏 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00169278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | coupling factor 6 / プロスタサイクリン / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
Coupling factor 6 (CF6) がプロスタサイクリンの産生を阻害する内因性ペプチドであることを発見した。CF6はF1分子モーターを活性化しプロスタサイクリン産生の抑制、食塩感受性高血圧ならびに糖尿病の発症を引き起こす。このF1分子モーターを阻害する物質としてInhibitory protein IF1が最近同定されたが、IF1はF1分子モーターを阻害し、CF6の作用は阻害するがミトコンドリアのATP合成には全く影響を与えず、CF6の特異的阻害物質として作用する可能性が極めて大きい。以上のことを背景に、IF1の抗CF6作用の有無について培養細胞とCF6過剰発現マウスから採取したTG細胞を用いて検討した。 本年度の研究では、CF6のプロスタサイクリン産生抑制作用に及ぼす影響を明らかにした。CF6過剰発現マウスから採取したTG 細胞にIF1-cDNAをtransfectionしIF1過剰発現後の細胞膜を3Hアラキドン酸でラベル後、30分間に放出される3Hアラキドン酸を測定した。その結果、TG細胞からのアラキドン酸遊離はWT細胞に比して有意に減少していた。IF1の過剰発現により、WT細胞からのアラキドン酸遊離は変化しなかったが、TG細胞では有意に増加がみられた。すなわち、TG細胞に認められたプロスタサイクリン産生低下は、IF1の発現により回復が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画は以下の通りであった。 今年度明らかにする点は、IF1の抗CF6作用の有無について培養細胞とCF6過剰発現マウスから採取したTG細胞を用いてアラキドン酸遊離への影響を検討する。TG細胞にIF1-cDNAをtransfectionしIF1過剰発現後の細胞膜を3Hアラキドン酸でラベル後、30分間に放出される 3Hアラキドン酸を測定した。その結果、TG細胞では有意にアラキドン酸の増加がみられたことから、TG細胞のプロスタサイクリン産生低下は、IF1の発現により回復が認められた。 この結果から、2019年度の研究成果として順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進めて行く予定である。 2020年度は、IF1のATP産生に及ぼす影響を明らかにする。TG細胞にIF1を過剰発現後、ATP 産生を化学発光法を用いて定量する。また、細胞内ATP分解活性をADPを指標とした比色法で測定する。更に、CF6過剰発現マウスにおける食塩感受性高血圧の発症とインスリン抵抗性に関連する分子に及ぼす影響をTG 細胞を用いて観察する。 2021年度は、CF6過剰発現マウスから採取したTG 細胞にIF1過剰発現させ、TG 細胞から細胞質を抽出し、ATP/ADP 比を測定する。更に、IF1過剰発現TG細胞をアセチルコリンで刺激し培養液中のNO産生量を測定し、IF1がCF6を阻害しNO産生を亢進することを明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、細胞培養試薬の購入費が少なく済んだため。
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