2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K08586
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤原 亮 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (20733447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高血圧 / LPIN1遺伝子 / fatty liver dystrophy / 交感神経 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はLPIN1遺伝子が、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により本態性高血圧の候補遺伝子であることを明らかにしてきた。LPIN1遺伝子は、脂肪萎縮症のモデルマウスであるfatty liver dystrophy(fld)マウスの原因遺伝子として2001年に発見されており、fldマウス(fld/fld)では全身の脂肪組織が欠落し、糖尿病・インスリン抵抗性・高トリグリセリド血症の病態を示す。しかし、LPIN1遺伝子の生体レベルでの血圧に対する影響は明らかになっていない。そこで本研究では、LPIN1遺伝子の全身ノックアウトマウスであるfldマウスを用いて、血圧の評価とメカニズムの解析を行った。 テイルカフ法およびラジオテレメトリー法によるfldマウスの血圧測定では収縮期血圧と心拍数が24時間持続して上昇しており、日内変動が消失していた。また、fldマウスの尿中アドレナリンおよびノルアドレナリンの排泄量は有意に増加していた。降圧薬投与実験では、対照群マウスと比較して、クロニジン(中枢性交感神経抑制薬)に対する降圧反応は増強され、ニカルジピン(カルシウム拮抗薬)に対する降圧反応は同等であった。従って、fldマウスは高血圧を呈し、そのメカニズムとして交感神経系の活性亢進が関与していると考えられた。さらにfldマウスの脂肪移植実験では、移植8週間後に収縮期血圧が有意に低下(改善)したことから、fldマウスの交感神経系の活性亢進にはアディポサイトカインの低下が関与している可能性が考えられた。 これらの結果から、LPIN1遺伝子は血圧調節に重要な役割を果たし、本態性高血圧症の新たな標的遺伝子となりうることを明らかにした。
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