2021 Fiscal Year Research-status Report
左心耳における脳塞栓発生の危険因子同定と閉鎖術の術前治療計画システムの開発・検証
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19K08588
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
森野 禎浩 岩手医科大学, 医学部, 教授 (90408063)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 左心耳 / 心原性脳塞栓 / 経皮的左心耳閉鎖術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のうち最も重要と位置づける、2)左心耳閉鎖術の術前治療計画・術中支援ソフトウエアの開発は完了し、ひき続き、3)多施設前向き試験による開発ソフトウエアの検証研究に移行した。ところが、新型コロナウイルスの蔓延により、術前の経食道エコーが検査時の飛沫感染の非常に高いリスクと考えられ、参加施設が術前の経食道エコー検査を回避する方針に切り替えたため、研究計画の変更が必要になった。そこで、実際に経皮的左心耳閉鎖術を実施した患者を対象に限定し、開発したソフトウエアを検証することとした(昨年度に報告済み)。それでも「予防医療」である左心耳閉鎖術は、どちらかというと「不急」と判断されがちで、各施設の症例数が伸び悩み、結果として登録研究の期間を延長せざるを得なかった。具体的には、岩手医科大学、東邦大学大橋病院、倉敷中央病院、榊原記念病院の4施設において、2019年9月から2021年4月に経皮的左心耳閉鎖術が行われた患者のうち、術前1年間に心電図同期心臓CT(64列以上)を撮像された患者を研究対象とし、60名の登録患者を見込む。現在、これら患者の術前CT画像、術中経食道エコー画像、臨床情報については、その8割以上の試料を回収できている。CT画像の3D-MPR、術中の経食道エコー、本研究で開発したソフトウエアでそれぞれ左心耳を描出し、検査間、検者間における測定値の差異を調査し、とくに経食道エコーの断面と、開発ソフトウエアによるバーチャル経食道エコービューの描出能や測定誤差に関して検討する。とくにバーチャルビューには経食道エコーのような「死角」がないため、後者に比べ描出・計測に有利な点があるはずで、詳細な解析により特に利点を導き出したい。また、手術患者に限るため、デバイス治療後の左心耳形態の変化などに関する研究も可能であり、経食道エコーを用いた術中画像の比較検討も追加して行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のうち、主たる研究である「ソフトウエアの開発」はすでに完了した。残る患者登録研究のパートは、新型コロナウイルスの影響で大幅に進捗が遅れたが、1年間の延長申請によって余裕ができた。経食道エコーを用いた外来検査が困難となり研究計画の変更を余儀なくされたが、経皮的左心耳閉鎖術施行患者に対象を限ることで、術中の経食道エコー画像を用いて開発したソフトウエアを検証できると考えた。術前に経食道エコーを行い得た患者もいるため、サブ解析として検討に残す予定である。1)心原性脳塞栓発症患者の左心耳の形態学的特徴の検討と解剖学的危険因子の同定の研究課題については、30例を用いた初期検討の結果、解剖学的なバリエーションが極めて多彩で、症例数を多少増やしても危険な解剖の同定にまで至らないと判断せざるを得ず、本研究課題の目的としては、術前治療計画システムの開発の方がより大きいため、2)、3)の研究課題に注力し、研究を進める方針とした。残された1年間の研究計画期間に実施可能であるため、おおむね順調に進展していると回答した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したソフトウエアに各施設のCT画像を取り込み、予め定義した方法で様々なパラメーターを複数名で計測し、従来のモダリティーのそれらと比較検討をする。測定誤差などが重要な検討課題となるため、学内の統計専門家に相談し、適切な手法で検証をすべきと考えている。研究結果は、しかるべき国内・国際学会で発表し、論文化する方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により1年間の研究計画の延長を申請した。次年度の使用額としては、主に学会報告などに伴う出張旅費、研究補助者に対する人件費、その他の消耗品で、研究費を使用させて頂く計画である。
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Research Products
(2 results)