2020 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管内皮細胞を基軸とした動脈硬化制御機構の解明:免疫寛容不全の奏功起点を探る
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19K08590
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮崎 拓郎 昭和大学, 医学部, 准教授 (80398693)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カルパイン / 脂質異常症 / 動脈硬化症 / リンパ / 制御性T細胞 / TGF-beta / タンパク質分解 / リンパ管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトリンパ節において病理解析を実施し、急性冠症候群の有無によるリンパ管の形態的・機能的変化について検討した。急性冠症候群の既往歴を有するリンパ節検体において、炎症マーカーであるVCAM1の発現増加とリンパ管の過形成が認められた。また、高コレステロール血症モデルマウスにおいて、血漿、リンパ液およびリンパ節におけるリゾリン脂質の分布をリピドミクス解析により検討した。高コレステロール血症の発症に伴い、いくつかのリゾリン脂質がリンパ環境で特異的に増加していることが明らかとなった。変化が認められたリゾリン脂質のひとつをカルパインをノックダウンしたリンパ管内皮細胞に負荷したところ、TGF-b1の発現増加が検出されたが、コントロール細胞ではそのような応答は認められなかった。この結果は前年度までのリンパ管内皮細胞特異的カルパイン欠損マウスの結果と符合するもので、同マウスにおける血中TGF-b1濃度増加はリンパ管内皮細胞由来であることの裏付けになると考えている。また、上記のTGF-b1高発現細胞と、マウス脾臓由来CD4陽性細胞を共培養したところ、培養液中にTGF-b1を添加しない条件下でも同細胞群中の制御性T細胞が維持された。このような制御性T細胞の安定化は、TGF-B1受容体阻害剤であるLY364947により阻害されたことから、TGF-B1依存的であると考えられる。これまでの結果をまとめて原著論文として投稿したところ、revisionの判定となり、現在追試験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果はすでに論文として投稿されており、revisionの段階に到達しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
査読結果に従い、論文を修正する。
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Causes of Carryover |
予算より1,975円の余剰分が生じたが、これは誤差範囲であり、次年度消耗品として使用する。
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Research Products
(6 results)