2023 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of left ventricular diastolic dysfunction on outcomes following transcatheter aortic valve implantation
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19K08595
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
神崎 秀明 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (60393229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 左室拡張障害 / 右室機能 / 左房機能 / 経カテーテル的大動脈弁置換術 |
Outline of Annual Research Achievements |
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を受けた患者541例を対象に右室機能が予後に与える影響について検討を行った。右室機能の指標として、右室収縮性を鋭敏に反映する右室-肺動脈カップリング比、三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)を肺動脈収縮期圧(PASP)の比を用いた。Kaplan-Meier解析では、低TAPSE/PASP比群で有害心イベントの発生率が高かった(log-rank検定 P<0.001)。多変量Cox回帰分析では、TAPSE/PASPが独立した予後予測パラメータとして同定された(ハザード比0.246;P=0.023)。以上より、RV-PAカップリング比で表現される右室機能はTAVR施行患者における有害心イベントの予後予測因子として機能することが証明された。この成果について、フィラデルフィアで行われた米国心臓協会学術集会(AHA 2023)にて報告した。 また、左房容積と左房収縮期の僧帽弁輪速度との比(LAVi/a')は、左房機能の指標である。洞調律の511例のTAVR施行患者を対象とすると、Kaplan-Meier解析により、LAVi/a'値が中央値よりも高いグループでは、有害心臓イベントの発生率が高かった(log-rank検定、P = 0.004)。多変量Cox回帰分析では、LAVi/a'が独立した予後因子として同定された(ハザード比1.049、P=0.002)。結論として、TAVR施行患者における進行したLAVi/a'を用いて評価される左房リモデリングは、TAVR後有害心臓イベントのリスク増加と関連している。この成果について、日本循環器病学会学術集会で報告した。 TAVR患者における左室拡張能障害は、その上流にある左房機能、右室機能にも悪影響を及ぼすと考えられ、これらを評価することは、間接的に左室拡張能の予後への悪影響を推し量る意義があると考えられる。
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