2020 Fiscal Year Research-status Report
肺線維症における細胞種特異的TGF-β活性化機構の役割
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19K08598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鯉沼 代造 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80375071)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺線維症 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎・肺線維症の病態は未だ十分に解明されておらず、治療法開発においても分子 標的薬をはじめ光明が見出されるものの、分子病態のさらなる理解が求められている。本研究では肺線維症の病態に関与する主要なサイトカインの一つであるTGF-βシグナルの、従来とは異なる細胞種特異的な活性化機構に関わるある分子Aの機能に着目し、その肺線維症マウスモデルにおける役割を明らかにすることを目的としている。 Cdh5プロモーターの制御下にタモキシフェン依存的にCreレコンビナーゼを発現することで、この遺伝子Aが発現している血管内皮細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスをすでに樹立している。今年度はこの変異マウスを用いてブレオマイシン経気道内投与による肺線維症モデルでの検討を繰り返し行った。昨年度の検討結果と併せ、マウスの肺線維化が遺伝子Aのノックアウトにより病理組織学的に減弱することが示唆される結果を得た。 これを踏まえて肺線維症に如何にこの遺伝子Aが関与しているか解析を継続している。線維化肺においてどのような細胞でTGF-βシグナルが活性化しているか免疫染色で検討したほか、内皮細胞自身が線維化の病態で受ける影響と遺伝子Aの役割を評価するためin vitroでの検討を行った。 これにより遺伝子Aはブレオマイシン投与時にその発現している内皮細胞自身に影響を与えていることが示唆された。 今後以上の結果を踏まえてメカニズムの解明を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続いて線維化への影響をcKOマウスで検討した結果線維化の抑制が認められると判断された。 さらにメカニズムの追求のために行った検討によりその発現する内皮細胞にフォーカスすることが妥当と考えられるなど、目標に向けて予定した進展がみとめられたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
線維化における内皮細胞発現遺伝子Aの役割について培養実験系でのメカニズムの探索を継続する。TGF-βには線維化促進と表裏一体の作用として免疫抑制能があり、遺伝子Aの欠失によりこの面への影響がどうなるか評価を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の検討の結果、当初想定していた内皮細胞由来分泌因子の内皮細胞外における作用だけでなく、内皮細胞自身への遺伝子Aの役割についての評価が必要であることが明らかになった。このメカニズムを明らかにするため、今年度予定していたマウス実験の一部を見送り、必要な試薬・材料を次年度購入して実験を行うことにした。
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