2019 Fiscal Year Research-status Report
COPDにみられる動的肺過膨張に対する呼吸リハビリテーションの効果
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19K08599
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤本 圭作 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (70242691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北口 良晃 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (40447751)
川内 翔平 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 研究員 (80827965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 動的肺過膨張 / 運動負荷 / 過去吸 / 最大吸気量 |
Outline of Annual Research Achievements |
労作や運動で肺に空気が取り込まれ,さらに肺が過膨張となる動的肺過膨張(DLH)は慢性閉塞性肺疾患(COPD)における呼吸困難および運動耐容能低下の重要な要因である.気管支拡張薬はDLHを軽減させるが,呼吸リハビリテーション(PR)のDLHに対する効果は不明である.本研究目的はPRがDLHを改善させ、呼吸困難および運動耐容能を改善させるかを検討することである.DLHは運動負荷時における最大吸気量(IC)の減少で評価される.DLHは呼吸数の増加に依存して生じる事から,我々は運動負荷を行わず段階的に過呼吸させることによりDLHを定量的に評価する方法(過呼吸法)を考案した.運動負荷法と過呼吸法の両者でDLHを評価することでDLHに対する効果の機序が明らかとなると考えた.最初に,運動負荷によるDLHの評価が過呼吸法で評価するDLHと同じなのか,違いはあるのかについて検討をおこなった. 35名のCOPD患者を対象に検討した.両方法で評価した最小のIC値およびICの最大の減少量は有意に正の相関を示した(各々r=0.67, r=0.44).しかし,運動耐容能と従来法で評価したDLHの指標との間には有意な相関は見られなかったが,過呼吸法で評価したDLHとの間に有意な正の相関を認めた(r=0.62).息切れの程度との間には両方法で評価したDLHとの間には弱いながらも有意な相関が見られた.以上から両方法で得られるDLHは相関するが,同一では無い.これは運動耐容能の制限因子はDLHを含め多数あり,過呼吸法ではDLHのみが純粋に評価できるが,運動負荷法ではDLH以外にも下肢筋疲労,低酸素,気流閉塞,嫌気性代謝など様々な要因が関与すると考えられ,両方法で評価することに意義があると判断された.これを踏まえてCOPD患者を対象に呼吸リハビリテーションの効果について評価を始めたところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマは,呼吸リハビリテーションによる動的肺過膨張の軽減効果であるが,2つの異なる方法で評価をおこなう.研究1年目に予定していたのは,本研究を開始するに当たり,2つの異なる方法で同様の結果が得られるのか,あるいは違いがあるのかについて評価することである.35名の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象に評価をおこない,両方法で評価した動的肺過膨張は相関するが,運動耐容能との相関について両者で異なることが判明した.これは運動耐容能の制限因子はDLHを含め多数あり,過呼吸法ではDLHのみが純粋に評価でき,運動負荷法ではDLH以外にも下肢筋疲労,低酸素,気流閉塞,嫌気性代謝など様々な要因が関与すると考えられ,両方法で評価することに意義があると判断された.これを踏まえてCOPD患者を対象に呼吸リハビリテーションの効果について評価を始めたところである.現在の登録数は7名,完了は1名である.あと2年あり,予定通りの進捗状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
2年以上呼吸リハビリテーションを行っていない安定期にある病期ⅡからⅣのCOPD患者を対象として,3ヶ月間の呼吸リハビリテーションをおこない,その前後で呼吸機能検査(スパイロメトリー),過呼吸法および定常運動負荷によるDLH評価,運動時呼吸困難感(修正Borg scale),定常運動負荷時の運動持続時間,COPD assessment test (CAT)によるQOL評価をおこない,呼吸リハビリテーションをおこなわない対照群と比較する.現在の登録数は7名,完了は1名である.予定は30名ということであるが,信州大学医学部附属病院呼吸器・感染症アレルギー内科外来を受診し,対象の基準に合致する患者数は7名が限度である.対象患者を集めるために,近隣の病院(3施設)に通院しているCOPD患者に主治医の呼吸器内科医の協力を得て,インフォームドコンセントをおこない承諾を得る方策を考えている.この場合に各病院がおこなっている呼吸リハビリテーションの内容に若干の違いがあり,出来るだけ統一して行っていく必要がある.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)