2019 Fiscal Year Research-status Report
セマフォリン7Aを標的とする、EGFR遺伝子変異陽性肺癌の新規治療法の開発
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19K08602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長友 泉 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10570583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺癌薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)臨床サンプル(病理組織)の免疫染色を行い、セマフォリン(特にSEMA7A)発現を評価し、EGFR-TKI効果との相関について解析する:本研究課題開始後、症例の集積が不十分であるため、現時点で実施できていない。症例が集まり次第、実施する予定である。 (2)培養細胞を使用したメカニズムの解明:先行研究に引き続き、培養細胞を使用して、経時的にEGFR-TKI感受性が変化するメカニズムの解明を行っている。 (3)培養細胞とマウスを使用した治療実験:大きく分けて、代替活性化シグナルの抑制、腫瘍免疫の増強、という異なる方向から研究を行っている。前者に関しては、(2)のステップが律速となっているため、現時点で進捗していない。後者に関しては、サイトカイン療法に関する、マウスを使用した予備実験の結果から、NK細胞を標的とした新規治療法の開発を元々は計画していた。しかし、あらためて解析したところ、樹状細胞(DC)及び細胞傷害性T細胞(CTL)の関与がより大きいことが判明した。新たに Syngeneic Transplantation モデルの実験系を構築して解析を行っており、現在までに以下の知見が得られた。①炎症性サイトカインの一種であるIL-33をマウスに投与したところ、DCにおいてセマフォリン分子の発現が強く誘導された。②DCがセマフォリンシグナルを介してCTLを活性化し、その結果として著明な腫瘍縮小効果が認められた。③この腫瘍縮小効果には、腫瘍微小環境におけるインターフェロンγ(IFNγ)が関与していた。このIFNγは、IL-33による直接的な誘導ではなく、セマフォリンを介して誘導されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床サンプルの解析が滞っている(対象症例が少ないため)点が第一の理由であり、引き続き症例の集積に努める。 当初計画していた Xenograft Transplantation モデルから、Syngeneic Transplantation モデルへの変更を要した点が第二の理由であるが、現在は実験系が安定したので、今後の進捗には影響が無い。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床サンプルの集積と解析を最優先にする。また、培養細胞を使用した、細胞内シグナル伝達・代替活性化シグナルの制御に関する解析を進めて行き、最終的には免疫療法(サイトカイン療法)との併用を目指す。
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Causes of Carryover |
ヒト臨床検体の解析に使用する予定であったが、上述の通り症例が少なく未実施となったので、その分が次年度使用額となった。現在、症例を集積中であり、次年度に実施予定である。
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