2020 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of RSV-induced exacerbation of asthma
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19K08618
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00739196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 喘息 / 増悪 / RSウイルス / MMP-12 / M2様マクロファージ / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RSウイルス感染に伴う喘息の増悪のメカニズムを明らかにすることを目的とした。特に最近研究代表者らが見出したRSウイルス感染に伴う喘息増悪モデルにおけるmatrix metalloproteinase-12 (MMP-12) レベルの亢進と好中球数の増加に焦点を合わせ、これらが病態の発症に関与するか、また関与する場合、どのように関与するかその機構の解明を試みた。 まず、喘息の増悪モデルを用いて野生型とMMP-12 KOマウスの応答を調べたところ、MMP-12 KOマウスにおいて増悪の改善がみられた。つまりMMP-12が喘息の増悪に関与していることが明らかになった。また、増悪グループにおいて増加する好中球を抗Gr-1抗体で枯渇すると、増悪が改善された。すなわち、好中球が喘息の増悪に関与することがわかった。なお、MMP-12は、気道上皮細胞に作用するとCXCL1産生を誘導し、標的細胞は不明だがIL-17の産生も誘導することが明らかになった。MMP-12はTh2サイトカインによって誘導されるM2様のマクロファージが産生することが知られている。一方、増悪グループでみられる多量のMMP-12産生はTh2サイトカインの刺激だけでは惹起されなかった。そのメカニズムの解明を試みたところ、RSウイルスの感染に伴い産生されるIFN-gammaがマクロファージのIL-4受容体の発現を促進し、よりIL-4やIL-13が作用することで多量のMMP-12を産生することがわかった。最後に、喘息の治療にはデキサメタゾンが有効なので増悪モデルに投与したところ、その改善はみられなかった。一方、デキサメタゾンの代わりにMMP-12阻害剤 (MMP408) を投与したところ、好中球数の減少、気道抵抗値低下がみられ、増悪が抑制された。 以上本研究結果より、RSウイルス感染に伴い多量に産生されるMMP-12が好中球浸潤の亢進を介して喘息を増悪させることが示された。この成果は、MMP-12を標的とした新規治療薬の開発につながることが期待される。
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