2021 Fiscal Year Annual Research Report
鉄代謝異常に起因する末梢気道上皮幹細胞群の機能低下とCOPDの末梢気道病変の関連
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19K08624
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 直也 京都大学, 医学研究科, 助教 (30805817)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺気腫 / 鉄代謝 / 恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄代謝異常の素因のある個体では、喫煙暴露により鉄代謝の恒常性破綻から過度の酸化ストレスを生じ、肺胞上皮や気道上皮の恒常性維持が損なわれるため肺気腫を発症するという仮説を引き続き検討した。24週間の喫煙暴露を行った野生型マウスとヘモペキシンノックアウトマウスにおける肺気腫形成機序について、組織学的な探求を行った。前年度報告した標準的な肺気腫定量方法である平均肺胞間距離の増大に加えて、破壊部位の形態学的特徴を抽出するために、新たなにパーシステントホモロジーを用いた形態解析法を確立した。結果、ヘモペキシンノックアウトでは喫煙により肺気腫が比較的気道周囲に生じることが明らかになった。同時にヒト肺におけるヘモペキシン同定を試み、前年度に引き続きヒト肺組織を用いた免疫染色を行った。前年度は凍結切片を用いた検討を行ったが、染色に成功しなかったため、本年度はホルマリン固定組織切片を用いて染色を行った。結果、ヒト2型肺胞上皮細胞、マクロファージなどにおいて、健常肺ではヘモペキシンの発現が確認された。肺切除前に施行した胸部CTを用いて肺気腫肺を同定し、肺組織の免疫染色の結果と組み合わせ、肺気腫肺では2型肺胞上皮細胞やマクロファージにおけるヘモペキシンの発現が低下していることを見出した。2型肺胞上皮細胞のヘモペキシン発現低下がどのような機序で肺気腫発症に関連するのか検討するために、再度、生型マウスとヘモペキシンノックアウトマウスに慢性喫煙暴露を行った後に、単離した2型肺胞上皮細胞を用いて遺伝子発現解析を行った。網羅的解析の結果、喫煙暴露ヘモペキシンノックアウトマウスでは、喫煙暴露野生型マウスに比べて、生体の恒常性維持に必要なprotein quality control に関わるtripartite motif-containing 5, 12, 30の発現低下を認めることを見出した。
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