2019 Fiscal Year Research-status Report
小細胞肺癌の機能性RNA統合解析に基づくドラッグ・リポジショニングの考案
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19K08627
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水野 圭子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (50531414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / マイクロRNA / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌の臨床において、初期治療の反応は概ね良好であるが、多くの症例で治療経過中に癌細胞は治療抵抗性を獲得し、再発・遠隔転移をきたす。治療抵抗性を獲得した症例に対する治療法は限定的であり、患者の生命予後は極めて不良である。また明確な標的分子が見つからないため、最近の分子標的薬による予後の改善も期待できない。近々のトピックスである免疫チェックポイント阻害剤については、昨年より初期治療に併用できるようになったが、その有効性はいまだ不十分と言えるだろう。小細胞肺癌の治療抵抗性の分子機序を明らかにする事が、本疾患の新規治療法の開発に繋がると考えられ、肺癌診療に携わる医療者の願望である。 研究代表者は、治療抵抗性に至った小細胞肺癌患者の剖検検体から、RNAシークエンスにより、機能性RNA発現プロファイル(マイクロRNAおよび蛋白コード遺伝子)を作成したことをすでに報告した(J Hum Genet. 2017)。更に、治療導入前の小細胞肺癌患者および治療抵抗性に至った小細胞肺癌患者の血液由来エクソソームから、マイクロRNA発現プロファイルを作成している。本研究の目的は、これら機能性RNA発現データを統合的に解析することにより、小細胞肺癌における治療抵抗性の分子機序を明らかにすることである。更に、同定した治療抵抗性に関わる分子経路を遮断する戦略を、既承認薬の応用(ドラッグ・リポジショニング)も組み入れて考案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療抵抗性・小細胞肺癌 マイクロRNA発現プロファイルから、治療抵抗性を促進するマイクロRNAを探索する 治療抵抗性小細胞肺癌(組織)マイクロRNA発現プロファイルにおいて、高発現しているマイクロRNAと、現在解析を継続している患者の血液エクソソーム由来マイクロRNA発現解析で、高頻度に検出されるマイクロRNAを候補として機能解析を行い、候補となるマイクロRNAを選別した。さらに耐性獲得前の患者血液エクソソーム由来マイクロRNA発現解析も行い、変化のあるマイクロRNAの選別も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
治療抵抗性・促進型マイクロRNAが制御する分子経路を探索し、その分子経路を遮断する、ドラッグ・リポジショニングの考案 治療抵抗性・促進型マイクロRNAのseed配列を、CRISPR-Cas9システムで、ゲノム編集した癌細胞と、未編集の癌細胞について、網羅的な遺伝子発現解析を行い比較することから、治療抵抗性・促進型マイクロRNAが制御する分子経路の探索を行う。マイクロRNAが制御する分子経路の遮断法を、ヒトでの安全性と体内動態が実績によって既に確認されている既承認薬から検討する。
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Causes of Carryover |
計画立案・積算時の端数処理と実支出額との差で少額の次年度使用額が生じた。次年度の旅費として使用する予定である。
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