2021 Fiscal Year Annual Research Report
小細胞肺癌の機能性RNA統合解析に基づくドラッグ・リポジショニングの考案
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19K08627
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水野 圭子 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (50531414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 治療抵抗性 / マイクロRNA / MCMファミリー |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌(Small Cell Lung Cancer;SCLC)は高悪性度かつ難治性癌であり、一次治療に抵抗性になった患者では再発、遠隔転移を来たし、その予後は極めて不良である。明確な標的分子も同定されていないため分子標的薬の適応もない。最近注目されている免疫チェックポイント阻害剤についてもその有効性は未だ限定的であると言える。小細胞肺癌の治療抵抗性の分子機序を明らかにすることが、本疾患の新規治療法の開発に繋がると考え、研究に取り組んだ。 治療抵抗性に至った小細胞肺癌患者の剖検検体から、マイクロアレイを使用してSCLCの遺伝子発現シグネチャを同定した。癌と正常肺組織間での比較を行い、癌組織でアップレギュレートされた1136個の遺伝子を抽出した。引き続きKEGG経路分析を行い、これらの遺伝子が「細胞周期」、「相同組換え」、「DNA複製」、「p53シグナル伝達」と関連していることを明らかにした。我々は、アップレギュレートされた遺伝子のうち、細胞周期経路に関与するMCMファミリー遺伝子(MCM2、MCM4、MCM6、およびMCM7)に焦点を当て研究を進めた。SCLC細胞株を用いてMCM遺伝子をノックダウンすることにより、細胞周期アッセイでは、G0/ G1期の細胞の割合が増加し、アポトーシスアッセイではアポトーシス細胞の割合が増加した。またMCM遺伝子のノックダウンによりSCLC細胞のシスプラチン感受性が増強することも確認した。MCMファミリー以外にもDNAレプリソーム関連遺伝子、CDC45およびCDC7は、SCLC組織でアップレギュレートされていることが確認されており、治療抵抗性SCLCの潜在的な治療標的となる可能性がある。今回、治療耐性を来したSCLC検体を元に導き出した結果は、治療抵抗性を獲得した小細胞肺癌の分子病因の解明の一助になると考える。
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