2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K08631
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中鉢 正太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90464867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺癌 / 肺気腫 / COPD / マウス / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重要な併存症であり、合併した肺癌の予後は不良である。またCOPDの主病態である肺気腫は不可逆的であり、生命予後を改善する薬物治療の根拠は乏しい。そこで肺気腫・肺癌のChemopreventionが注目されているが、確立された予防薬がないのが現状である。本研究の目的は肺気腫の進行及び、肺癌の発症の新規予防薬を探索することである。具体的には、我々が確立した基礎研究基盤、臨床検体を統合的に用いCOPD・肺気腫と、肺癌に共通する発症機序の解明、両者の新規Chemoprevention薬の効果・作用機序の解明を行いたい。 初年度は本モデルの炎症に着目して検討を行った。間歇的に喫煙曝露を行う群は肺気腫、肺腫瘍が高率に発生しただけでなく非喫煙群、連続喫煙群と比較してマクロファージを中心とした炎症が肺内に高度に存在していた。先行研究において、肺癌と炎症及び、肺気腫と炎症の関連は多く報告されており、抗炎症薬にターゲットを絞って検証を開始することとした。抗炎症薬の選定にあたり、COPD患者の臨床に還元できる薬剤を検討した。COPDの患者に対する抗炎症薬で実臨床で使用されている薬剤はほとんどなく、吸入ステロイド薬の効果も限定的である。しかし近年ロフルミラストというホスホジエステラーゼ阻害薬が欧米で認可されておりCOPD患者の増悪の抑制が確認されている。 そこで初年度は、抗炎症薬ロフルミラストに喫煙誘導肺気腫・肺癌抑制効果があるのではないかという仮説のもとに検討を開始した。5か月の間歇喫煙曝露マウスに対し、ロフルミラストの投与有無で腫瘍、肺気腫をまずに比較した。ロフルミラスト投与群は非投与群と比較して、マイクロCTでの肺腫瘍の個数が有意に減少しており、組織学的に平均肺胞径が低値つまり肺気腫が軽度であった。 以上から初年度は肺気腫の予防薬を選定しprimary outcomeである肺気腫、肺腫瘍の予防効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補薬として、癌、肺気腫の予防効果のある可能性が高い新規薬剤を発見したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後本薬剤の組織学的評価の追加による、肺癌、肺気腫の予防効果があることのデータを強固にすること、また本薬剤の肺癌、肺気腫の予防効果の機序を検討していく。
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