2021 Fiscal Year Annual Research Report
一般細菌・抗酸菌・真菌の網羅的菌叢解析による下気道感染症の病態の解明
Project/Area Number |
19K08639
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
矢寺 和博 産業医科大学, 医学部, 教授 (40341515)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 細菌性肺炎 / 慢性下気道感染症 / 非結核性抗酸菌症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は慢性下気道感染症や肺炎、胸膜炎に対してクローンライブラリー法を用いたSanger法による細菌叢解析を継続して行った。慢性下気道感染症では肺病変部から直接採取した気管支肺胞洗浄液を用いて、16S ribosomal RNA遺伝子におけるV3-V5 (E341F-E907R)領域をターゲットとした解析だけでなく、抗酸菌特異的な可変領域をターゲットとするプライマーを用いた解析を行った。これらの手法を組み合わせて用いることで、慢性下気道感染症患者の下気道細菌叢、及び、抗酸菌感染の有無、複数抗酸菌種の混合感染の有無を調査した。本手法は、培養を介さないため、菌種推定までの時間を短縮できることに加えて、通常は培養条件や温度の問題から複数菌種を推定することは困難であるが、その点を解決することができ肺内に存在する複数の抗酸菌を一度に評価できるといった利点がある。 上記手法による慢性下気道感染症患者の肺病変部の気管支肺胞洗浄液の細菌叢解析、及び臨床所見との比較について前向きに症例集積を行った結果、非結核性抗酸菌検出群が非結核性抗酸菌未検出群に比較して、細菌叢における嫌気性菌の占める割合(特にPrevotella属の占める割合)が高い事を確認する事ができた。また、非結核性抗酸菌が複数菌種検出される症例が存在する事を確認出来ており、この非結核性抗酸菌が複数菌種検出される症例と単一菌種のみが検出される症例とにおいて画像所見、臨床症状の差異について比較すると、複数抗酸菌種が検出された群において臨床症状の改善が乏しく、画像所見が悪化する傾向にある事を確認出来ているこの結果は以前に我々の検討の報告(Naito, Yatera et al. Chest, 2021)と一致しておりさらなる症例集積を行い今後結果のまとめを行い論文化予定としている。
|
Research Products
(1 results)