2019 Fiscal Year Research-status Report
抗酸菌感染症における呼気中の揮発性代謝産物のGC-MSを用いた解析
Project/Area Number |
19K08640
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
本田 尚子 国立感染症研究所, 品質保証・管理部, 主任研究官 (40600911)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 抗酸菌 / GC-MS / 揮発性代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
結核菌ワクチン株Mycobacterium bovis BCG Tokyo、非結核性抗酸菌M.smegmatisおよび大腸菌をSautonプレートおよび全卵を主体とする小川培地で培養し、気相をMonoTrapに吸着させ、ジクロロメタンで溶出しGC-MSで測定した。結核菌(M.tuberculosisとM.bovis)に固有の揮発性代謝産物であり、培養気相および患者呼気から検出されるが、BCG Danishワクチン株では検出されないと報告された3物質が、日本で使用されるBCG Tokyo株から検出された。培養条件が異なるか、ワクチン株によってゲノム欠損領域が異なることが代謝産物の違いに反映されたと考えられた。BCG Tokyo株とM.smegmatisに共通して多量に放出され、大腸菌からは検出されない物質や、M.smegmatisに固有の物質を同定した。 MonoTrapに呼気3Lを1時間吸着させた呼気サンプルからは、これらの代謝産物は検出されなかったため、患者呼気の診断に利用できると考えられる。しかし、呼気のサンプルは全体的にシグナル強度が低く検出ピークも少なかったため、濃縮率を上げる必要があることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は固相マイクロ抽出法を計画していたが、呼気中から菌由来の微量の代謝産物を検出するためには、より多くの固相を用いて濃縮する必要があると示唆された。培養気相の測定に用いた溶媒抽出法では、装置に導入できるサンプルが希釈されてしまうことから、呼気の分析には加熱脱着装置を用いた測定が必要であることが分かった。このため必要な機器等に変更が生じ進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
BCGワクチン株で揮発性代謝産物の検出が溶媒抽出法でできることが分かったため、さらにM.avium等の肺MAC症の原因となる非結核性抗酸菌に固有で、多量に存在する物質を同定する。呼気に含まれる物質と質量が重ならない物質を指標として、患者呼気から検出できるサンプリング法と測定法を探す。
|
Causes of Carryover |
測定方法の変更が生じたため、当初購入予定の消耗品類を購入しなかった。加熱脱着装置により消耗品が異なるため、機器が決まってから消耗品類を購入する。
|