2021 Fiscal Year Research-status Report
トランスオミクスが紐解くCOPDの新規バイオマーカーと病態解明
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19K08650
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 吉人 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40452388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エクソソーム / マルチオミクス / バイオマーカー / バイオマーカー / メタボローム / トランスクリプトーム / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
性閉塞性肺疾患(COPD)は、多様な表現型を含む全身性炎症性疾患であるが、呼吸機能のみに診断を依存しているものの、個別化医療のためには、鑑別や治療 に有用なバイオマーカー(BM)開発が急務である。近年、バイオテクノロジーの飛躍的進歩のおかげで、網羅的解析(オミクス)によるビッグデータから、生命現象の全体像を捉えることも夢ではない。申請者は、エクソソームの鍵分子であるテトラスパニン研究から、新規COPDモデル開発とオミクスを活用した病態解明に取り組んできた。同時に、エクソソームの最新プロテオミクスから、種々の炎症性呼吸器疾患においてエクソソーム蛋白が、表現型を示唆するだけでなく、マウスとヒトにおいて病勢を反映する新規BM候補を発見した。このように申請者は、エキスパートと最新テクノロジーを駆使して、難関オミクスであるプロテオミクスを克服した。本研究では、豊富な臨床検体と独自のモデル動物を駆使して、各階層オミクスとバイオインフォマティクスチームの専門家で構成する異分野連携 チームにより、個別化医療を目指した炎症性呼吸器疾患のBM開発と病態解明を目指す。 プロテオミクスとメタボロミクスは、表現型により近いためBM開発や病態解明に期待されるが、核酸と異なり増幅ができず、情報やサンプルが複雑であるため解析手法の開発が遅れていた。特に、血清プロテオミクスは、経時的・非侵襲的に採取可能なことから要のオミクスと期待されるが、血清の複雑性、煩雑な操作のため、その活用は一部のエキスパートに限られる。さらに、複数オミクスを統合するトランスオミクスが欠かせないが、各種オミクス計測に卓越した研究者と情報・数理系研究者が密に連携した拠点は、国内にほとんど整備されていない。このような背景のなか、エクソソームのプロテオミクスから個別化医療に必須の鍵分子バイオマーカー:Fibulin-3を発見した(論文受理)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トランスクリプトームに関しては、当科においても疾患メカニズムを多くのアレイから同定してきた。肺線維症モデルにおける表現型解析(AJRCCM 2011,AJRCCM 2012 読売新聞)だけでなく、CD9 KO mouse(肺気腫感受性)とCD151 KO mouse(肺線維症感受性)のTargetMineによる比較解析から肺気腫と肺線維症の共通・相違遺伝子を同定した(論文受理)。ヒトへの応用へ向けて、既にCOPD患者由来の血清エクソソームmicroRNA/mRNAも解析を進めている。既に申請者がエクソソームから同定したCOPDや喘息における新規BM候補について、疾患特異性、病勢(呼吸機能低下)、急性増悪、予後の観点から当科所有のバンク(3000検体)にて絞り込む。プロテオーム分野では世界トップレベルの技術をもつ専門家(元プロテオーム学会 会長 朝長毅)による定量性と再現性を向上させた次世代プロテオミクス(MRM)を駆使して、大量のBM候補を効率的に絞り込んだ。さらに、COPD患者の肺組織と血清エクソソームのプロテオミクスを比較解析するとともに、マウスモデルでは、ヒトでは回収困難なBAL/肺組織/併存症臓器も経時的に解析する。表現型に最も近いオミクスであるメタボロミクスは、プロテオームやトランスクリプトームといったゲノム情報の媒体の流れの解析では困難な生体反応解明の有望技術と期待されている。既に、申請者は、世界トップレベルの技術を有する福崎教授との共同研究から、肺線維症モデルを用いたメタボロミクスから、新規パスウェイを同定した(論文受理)、次のステップとしてCOPD患者血清にて解析を進行中である。これら種々の階層におけるオミクスデータの統合を、独自のTargetMineにて解析を進めており順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
気流閉塞と炎症を特徴とする喘息とCOPDには、種々の表現型があることが疾患をより複雑にしていると考えられる。このようなヘテロな疾患の解明や個別化医療に欠かせないのがBMであり、診断・治療・新薬開発ストラテジーのパラダイムシフトとして期待されている。種々の細胞が分泌するエクソソームは、近年癌や感染症など多くの疾患への関与から、新たな細胞間・臓器間のメッセンジャーとして注目されている。血清は大量の夾雑物のため、エクソソームに注目することで、血清プロテオミクスという大きなハードルを解決してきた。最新プロテオミクスにより1900種類タンパクを検出し、次世代プロテオミクスと呼ばれるターゲットプロテオミクス(MRM)により効率的に大量のBM候補を絞り込むことで、COPD特異的な新規BMを同定した(特許出願、論文投稿中)。さらに、エクソソー ムが組織でしか捉えることができなかった膜蛋白を含むこと、タンパク・プロフィールが疾患特徴(表現型)を反映すること見出した。さらに他のマウスモデルだけでなく、COPDや喘息患者についても、同手法によりBM候補を同定した。個別化医療のためのCOPD疾患特異的なBMは見出されていない。→既に申請者は、エクソソームの最新プロテオミクスから種々の炎症性疾患のBMを同定*呼吸器分野において、各種オミクスとエキスパートによる連携体制は未整備。→各種オミクスとバイオインフォマティクスのオールジャパンの異分野連携チーム*多くのエクソソーム研究は核酸を対象とし、表現型に近いプロテオミクスは限定的。→プロテオミクスのエキスパートによる世界トップレベルの能力* 細胞レベルでのプロテオミクスとメタボロミクスの統合解析(Cell Rep 2015)→各階層の次世代オミクスのTargetMineによるトランスオミクス(マウスからヒトへ)今後は引き続き本計画を進める。
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Causes of Carryover |
研究成果がスムーズに出たおかげで、前年度に使用した研究費が予定より少なめであった。よって、次年度使用額が生じました。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 次世代プロテオミクスによる進行性線維化を伴う間質性肺疾患の新規バイオマーカー探索2021
Author(s)
榎本貴俊, 武田吉人, 足立雄一, 網屋沙織, 野田成美, 白井雄也, 福島清春, 白山敬之, 三宅浩太郎, 平田陽彦, 足立淳, 夏目やよい, 伊藤眞里, 熊ノ郷淳
Organizer
第61回呼吸器学会学術講演会
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[Presentation] エクソソームの次世代プロテオミクスによる悪性胸膜中皮腫の新規バイオマーカー開発2021
Author(s)
安部 祐子, 武田 吉人, 木庭 太郎, 福島 清春, 白山 敬之,平田 陽彦, 足立淳, 伊藤眞里, 横井 崇, 南 俊行, 栗林 康造, 木島 貴志, 熊ノ郷 淳
Organizer
第61回呼吸器学会学術講演会
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[Presentation] Identification of novel biomarkers for malignant pleural mesothelioma by proteomics of serum exosomes2021
Author(s)
Yuko Abe, Yoshito Takeda, Hanako Yoshimura, Taro Koba, Yasuhiko Suga, Kiyoharu Fukushima, Takayuki Shiroyama, Syohei Koyama, Haruhiko Hirata, Kota Iwahori, Izumi Nagatomo, Atsushi Kumanogoh
Organizer
第80回 日本癌学会総会
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[Presentation] Discovery of novel biomarkers of small cell lung cancer by proteomics of exosomes2021
Author(s)
Hanako Yoshimura, Yoshito Takeda, Taro Koba, Yasuhiko Suga, Kiyoharu Fukushima, Takayuki Shiroyama, Haruhiko Hirata, Shohei Koyama, Izumi Nagatomo, Kota Iwahori, Mari Itoh, Atsushi Kumanogoh
Organizer
ATS 2021
Int'l Joint Research
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