2020 Fiscal Year Research-status Report
COPD身体活動性評価法の精度向上と個別化治療法の開発
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19K08662
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
南方 良章 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80295815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正典 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10347601)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | COPD / 身体活動性 / 歩数 / モチベーション / 3軸加速度計 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体活動性評価における季節の影響を検討する目的で、身体活動性の計測歴のあるCOPD患者のうち、平均気温17.5-22.5℃(代表20℃)の日を7日以上、それ以外の気温の日を10日以上の測定歴のある患者30例を抽出し、20℃に対する5℃毎の気温における身体活動性値の同等性を検証した。20℃の身体活動性平均値を1とし20%の変動以内を同等と仮定すると、2.0 METs以上の時間では、5, 10, 15, 25℃のみで同等性が得られた。 健常者に対する加速度計非装着時間抽出法として、90分連続で強度が検出されない場合を非装着とし、しかも2分以内の活動検出は認めても前後30分間に活動強度が検出されない場合はartificial movementとして除外する方法が非装着の検出感度に優れていると報告されている[Choi L. Med Sci Sports Exerc. 2011]。このアルゴリズムを、本邦のCOPD患者に頻用されているActive Style Pro HJA-750C(オムロンヘルスケア、京都)のデータに適用し、自動的に非装着時間を判定し検出するプログラムを作成した。 歩数予測式作成時の集積データから、歩数目標値設定方法について検討した。COPD患者においても、中には十分歩けている患者が存在した。歩数実測値が予測式で計算した標準値以下の患者が50%、標準値の2倍までの患者が75%存在した。また、厚生労働省が65歳以上の男性に推奨する歩数が7,000歩であることより、実測値が標準値の2倍未満かつ歩数実測値<7,000の患者を歩数増加対象とした。対象患者には、歩数標準値の0~2倍までの範囲を0.2倍毎の10領域に区切り、歩数実測値が含まれている領域のひとつ上の領域の最低値を目標値と設定した。対象外患者は現状歩数の維持を目標値とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、新型コロナウイルス蔓延の影響により患者自身の活動制限がおこなわれたこともあり、患者集積に難渋した。そこで、従来集積されているデータを中心に研究を進展させた。 身体活動性の精度向上を目指す取り組みのうち、季節の影響の評価、加速度計非装着時間除外方法の構築を行った。季節は主に気温により影響を受けており、平均気温が0℃以下および30℃以上では同等性が低下することより、寒冷・酷暑の比のデータは除外して評価することが重要であることが判明した。また、非装着時間の除去プログラムが完成したことにより、加速度計を用いた測定の精度向上に役立つツールが作成できた。なお、気管支拡張薬の身体活動性に対する効果を検討した従来の報告を振り返り、データ精度向上作業の重要性をJournal of Clinical Medicine誌に総説としてまとめ報告した。 また、昨年度の歩数予測式作成時に集積した患者データを再検討し、予測式から算出される歩数標準値に比べ、現在の歩数実測値がどのレベルに位置するかを評価したうえで、無理のない患者毎の歩数目標値設定方法を考案した。この目標値の妥当性および目標値提供の歩数増加効果の検討は今後必要ではあるが、患者の病態と現状を反映した目標値の設定がおこなえるようになったことは大きな進歩であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
加速度計を用いた測定の精度向上に関し、COPD患者におけるsedentary behavior (1.0~1.5 METsの活動)の詳細分析に関する検討を行なう。sedentary behaviorは、健常者においては主に座位相当の活動と考えられ、健常者のみならず他疾患においても座位時間の短縮を目指した取り組みが報告されている。しかしCOPDでは身体活動性がかなり低下しており、臥位時間にも目を向ける必要があると考えられる。そこで、強度別活動時間を測定できる加速度計と種類別活動時間を測定できる加速度計を同時に装着し、COPD患者のsedentary behaviorが、どのような種類の行動を反映しているのかの検討を行なう。 身体活動性改善に向けた取り組みとして、まず、令和元年度に作成した歩数予測式と令和2年度に考案した目標値設定方法をもとに、COPD患者に歩数目標値を提供し、その忍容性と歩数増加効果を検証する。次に、より多くの因子として、身体計測、個人歴、呼吸困難感、呼吸機能検査、生化学的検査、運動耐容能、筋力、併存症の指標等を測定し、身体活動性との関連を検討し、身体活動性の指標毎の関連因子の差についても検討する。さらに、様々な医療介入による身体活動性の改善効果を調査し、介入による改善の得られやすい患者の特徴を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延で、新たな患者登録が少なくなり、計測用キットの購入が不要となった。また、学会活動がリモート開催になり、旅費や宿泊費が不要となったため、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(17 results)