2019 Fiscal Year Research-status Report
The development of allergic bronchopulmonary mycosis animal model with forming eosinophilic mucoid impaction in airway
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19K08665
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
白石 良樹 東海大学, 医学部, 講師 (90383736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アレルギー性気管支肺真菌症 / 好酸球 / ETosis / 気道粘液栓 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis; ABPM)は、下気道における真菌に対するアレルギーを原因として、繰り返し再発する気道内好酸球性粘液栓により気道閉塞や中枢性気管支拡張をきたす難治性アレルギー疾患である。同様の気道内好酸球性粘液栓は好酸球性副鼻腔炎においても認められる。申請者は研究協力者とともにABPMや好酸球性副鼻腔炎の気道内好酸球性粘液栓に好酸球から放出される細胞外トラップ (extracellular traps; ET)が存在することを確認し、その形成機序の検討を患者由来のサンプルを用いて行ってきたが、気道内好酸球性粘液栓・好酸球ETを伴う適切な動物モデルがないために新規治療法の開発に困難を来していた。本研究計画は、気道腔内の真菌に対する好酸球ETによって気道粘液栓が形成されるABPM動物モデル(生きた真菌は用いず、真菌を模したビーズを用いる)を作成し、ABPMの粘液栓形成機序と治療法の有効性を確認することを目的とする。また、好酸球ETの関与が疑われる好酸球性副鼻腔炎治療や喘息重症化抑制法の開発に繋がることが期待される。
初年度は、野生型のマウス、ラットを用いて、気道に好酸球性粘液栓を形成する動物モデルの作成を試みたが、マウス・ラットの好酸球はETosisを起こさず、好酸球性粘液栓は形成は失敗に終わった。マウス・ラットの好酸球はヒト好酸球と大きく性質が異なっていることが明らかになったため、次年度以降は、ヒトIL-5、ヒトGM-CSFを発現するNODマウスにヒト臍帯血由来のCD34陽性 造血幹細胞を移植する方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoの実験ではC57BL/6Jマウス、BNラットにAspergillus fumigatusの粗抽出抗原、あるいはIL-33を繰り返し気道内投与して好酸球性気道炎症を惹起させ、肺組織中、気管支肺胞洗浄(BAL)液中に好酸球が多く現れることを確認した。その好酸球性炎症マウス/ラットの気道にマウス/ラットのIgG固相化ビーズ、あるいはIgG固相化なしの陰性コントロールビーズを投与して、IgG固相化ビーズに対する好酸球のETosis誘導による好酸球性粘液栓の形成を試みたが、マウス、ラットの気道内に好酸球性粘液栓、シャルコーライデン結晶は認められなかった。 Ex vivoにおいては、末梢血から分離精製したヒト好酸球、骨髄から分化誘導したマウス・ラット好酸球、好酸球性気道炎症のBAL液の細胞にET誘導を行った。ポジティブコントロールとしてprotein kinase C活性化剤であるphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)を用い、ヒト/マウス/ラットIgG固相化ビーズ、陰性コントロールビーズと共にヒト、マウス、ラット好酸球を刺激(5% CO2, 37C, 12h)した。ヒト末梢血好酸球の場合、PMA刺激、ヒトIgG固相化ビーズによりET誘導が認められ、陰性コントロールビーズではET誘導は認められなかった。一方、マウス、ラットの好酸球の場合、ヒト好酸球の場合と異なり、IgG固相化ビーズ、陰性コントロールビーズのいずれの刺激でもET誘導は認められないだけでなく、2時間のPMA刺激でほぼ全ての好酸球にETosisを起こさせるPMA刺激を12時間行ってもETosisは観察されなかった。
以上の事から、マウス、ラットの好酸球はETosisを起こさない点で、ヒトの好酸球と大きく性質が異なっていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、野生型のマウス、ラットを用いて、気道に好酸球性粘液栓を形成する動物モデルの作成を試みたが、マウス・ラットの好酸球はETosisを起こさず、好酸球性粘液栓は形成は失敗に終わった。マウス・ラットの好酸球はヒト好酸球と大きく性質が異なっていることが明らかになったため、次年度以降は、ヒトIL-5、ヒトGM-CSFを発現するNODマウスにヒト臍帯血由来のCD34陽性 造血幹細胞を移植する方法を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)は 3円 であり、翌年度分に合算する。
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