2020 Fiscal Year Research-status Report
近位尿細管ナトリウム輸送と鉱質コルチコイドシグナルにおけるSGLT2の意義
Project/Area Number |
19K08671
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 晶子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20534895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 元信 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40459524)
佐藤 信彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80572552)
山崎 修 帝京大学, 医学部, 講師 (80757229)
鈴木 正志 東京学芸大学, 保健管理センター, 教授 (90595662)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 近位尿細管 / ナトリウム輸送 / アルドステロン / アルドステロン受容体 / SGLT2阻害薬 / インスリン / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は鉱質コルチコイド アルドステロン(Ald)が鉱質コルチコイド受容体(MR)を介して近位尿細管(PT)のNa輸送活性に及ぼす作用に、Na-Glucose共輸送体(SGLT)2阻害薬およびMR拮抗薬(MRA)が及ぼす影響について、Wistarラットの単離PTを用いて解析を行った。PTのNa輸送活性測定には、PT基底側のNa-H+交換輸送体(NHE)3活性を用いることとした。顕微鏡下で単離したPTの細胞内pH変化を指標とし、蛍光色素を用いて測定した。 SGLT2阻害薬カナグリフロジン(CAN)を添加した培養液で処理した単離PTではNHEの基礎活性に変化はなかった。Aldは、PTのNHE3輸送活性を約40%亢進させ、この活性亢進作用はMRAであるエサキセレノンによりほぼ完全に抑制された(p < 0.01)。一方で、CANを添加培養した単離PTでは、AldによるNHE3輸送活性亢進作用は、有意に抑制され(p < 0.01)、インスリンによるNHE3輸送活性亢進作用も有意に抑制されていた(p < 0.01)。 以上から、AldがMRを介してPTのNHE3輸送活性を亢進させることが発見された。SGLT2阻害剤は、PTのNHE活性を抑制し、MRを介したNHE3輸送活性を抑制することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延により,一時期大学の活動制限が高度に実施され,実験を実施できなかったため,予定していた実験の一部を実施していない。しかしながら,この状況においても,CANがAldによる近位尿細管のNHE基礎活性亢進を抑制することを示唆する結果を確認しており,今後の本研究の発展において重要なデータを得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,SGLT2阻害薬がMRを介してPTのNa輸送活性を抑制する機序におけるkey regulatorの探索を行いたい。また,SGLT2阻害薬がインスリンによるPTのNa輸送活性を抑制する機序とも比較し,両者における共通の機序,差異のある機序の比較を通して,近位尿細管における糖代謝,Na輸送,血圧調節の密接な関連が起きていることおよびその機序の解明を目標とする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,一時大学の活動制限レベルが高度となり,構内への立ち入りが制限されたため,動物実験を中心とした実験計画に遅れが生じた。令和3年度において,令和2年度に予定していた実験を含め,可能な限り進捗させる予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Presentation] 副甲状腺ホルモンの生体内投与による腎糖新生亢進作用2020
Author(s)
塚田 弘之, 中村 元信, 藤井 航, 水野 智仁, 佐藤 信彦, 佐藤 悠佑, 堀田 晶子, 関 常司, 久米 春喜, 南学 正臣, 鈴木 正志
Organizer
第63回日本腎臓学会学術総会
-